【Voxロア和訳】1922年、パリ編・カネシロ氏との出会い【Vox lore, kaneshiro family】

 

 

本日は、にじさんじEN

Vox Akuma/ヴォックス・アクマさんの昨年1月の配信、

 

 

今回、切り抜いた箇所の他にも過去エピソードが登場するのですが、

そちらは記事に入りきらなかったので後日、別の記事にまとめる予定です。

 

 

 

管理人
リクエストをくださった方、ありがとうございました(*^^*)
貴方様もお元気でありますように🙇

 

 

 

 

※動画が再生されて発生した広告収益は全て、動画権利所有者とYouTubeの間で分配されます

※誤訳も多いかと思われます。申し訳ありません。もし、目に余る誤訳がありましたら、大変お手数をおかけいたしますが記事下部のマシュマロよりご連絡いただけますと幸甚です


1922年(大正11年)頃、パリにてカネシロ氏と出会う

 

 

【1】

 

 

 

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思い返せば・・・あれは1922年・・・

いや、1924年だったか。1927年だったかもしれない。

実を言うと、先述の通り

時を経るにつれ全てがぼやけてしまうんだ。

だからまあ、

1920年代のことであったと思ってもらえれば良い。

その頃といえば、第一次世界大戦が終結し

正に現在の十倍の規模にも及ぶ「インフルエンザ/※スペイン風邪」の

世界的大流行を経験した頃だが、

それについては触れないでおこう。

当時の私は、

身の安全を確保できる場所を探すのに手こずっていた。

悪魔の身ではスペイン風邪には罹らないが、

瀕死の人間が溢れかえった様子を前に

過去の嫌な記憶が蘇り、それがきっかけとなって・・・

いや、

これについても話したくはないな。

まあ、そういう経緯で

軽く気晴らしができる何かを探していたんだ。

私は先の戦争の戦利品だった土地を売却してーー

そこはとても素敵な場所だったが、

その話はまた別の機会にするとしよう。

新しい出会いを求めパリに越すことに決めた。

フランス語は話せなかったが、

当時、最も興味深く

裕福な人々がこぞって赴く場所と言えばパリだった。

だからともかく、行ってみたというわけだ。

素晴らしい日々だった。

皆にも見せたいくらいに。

私が今まで足を運んだ中でも最高と言えるような

宴がいくつもあった。

集まる人々は知識人、作家、芸術家、音楽家と

とても魅力的で、心が弾んだ。

しばらくの間は全てが楽しく、また、面白く感じられた。

だが、またしばらくして気がついた。

「これは私の探していたものではなかった」と。

長らく日本に帰っていなかったが、

そのときは戻るという考えはなかった。

なぜなら、当時は日本にとってかなり辛い時期で

食糧暴動(※1918年:米騒動)に加え、

政府は頼りにならない状況だったからだ。

けれど、資金が底をついてきていた私は

日本へ帰らなければならないと思っていた。

あの夜が来るまで。

ふふふ・・・

 

※〜6:53

 

 

 

管理人
この後にも登場するのですが、文脈的に”home”=日本としてお話しされているようです。「パリで過ごすお金が尽きてきたので、不況中ではあったけれど日本に帰ろうと思った。でも、あの夜以降はお金の心配をせずによくなった」ということで、”あの夜” に何が起こるのか、この先の展開が気になります ^^

 

 

 


【2】

 

 

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※6:53〜

この中に、絶賛されたドキュメンタリー作品、

『The Princess and the Frog/ 姫とカエル』を見た人はいるだろうか?
※ドキュメンタリー=事実に基づく映像記録なので同名のディズニー映画とは別の作品のはずですが、
特定ができませんでした。すみません

あの中に出てくる描写は歴史的に100%正しいと私が保証しよう。

戦後の米国人は破竹の勢いで金を稼いでいたものだが、

唯一、金では手に入らなかったものが “由緒ある血統” だった。

〇〇卿××というように、

爵位から始まる名こそ重要で、

爵位さえあれば生来つまらんクズ野郎でも関係ない。

貴族の男は、自分を巡って争う者の中から

より裕福な一族の娘を選び、婚姻を結べばいい。

←生まれた嫡男は貴族になれる可能性あり。お互い爵位や金が手に入りwinwin

私はね・・・

キンドレッド。

ちょっとした打ち明け話をしなければならない。

私はこの通り、とてもとてもとても、美しいだろう?

これまでずっと隠してきたが

最愛の君たちのため、ついに、真実を語ろうと思う。

現在に至るまで長きに渡り、

私の正体に気がついたであろう聡明な人間は幾人かいたが、

それは祝福であると同時に呪いでもあった。

悪魔であることで困ることは稀で、

ほとんどの人間は私が「人ならざる者」であると気づかない。

私は自分の正体を喧伝しないし、

正直に打ち明けでもすれば、

彼らは私を狂人と罵るか、叫び声を上げて逃げ出すか、

私を殺そうとするか・・・、酷く貶めようとするだろう。

普通はどの道、そうなってしまう。

パリでのあの夜の話題に戻るが、

あれは、静けさが心地いい夜のことだった。

数十人の取り巻きを連れた私が酒を片手に景色を楽しんでいると、

ちょうど真夜中ころ、

クラブの入口のそばで何か騒ぎが起こった。

私がそちらに目をやると、

我が物顔で歩く若い女性の姿が見えた。

女性のすぐ後ろには若い男性がいて、

私はてっきり、彼らは夫婦だと思ったんだが、

誰かが言ったんだ。

モーガン家だったか、ミラー家だったか・・・

よく覚えていないが、仮にモーガン家としておこうか。

重要なのは彼らが当時、非常に有力な一族だったという点だ。

二人は兄妹で、二人とも未婚だった。

私も馬鹿じゃない・・・。

〜おにぎりさんからツッコミが入る〜

おいコラ、おにぎり。私は馬鹿じゃないぞ。

とにかく、私は彼女を・・・いや、彼らを見て

これは好機だと思った。

私は人を遣って彼らに一杯、届けさせ、こう言わせた。

「このお酒はあちらの紳士、〇〇卿からでー」

しまった。

あの当時の私は、なんと名乗っていたのだったか。

多くの名を使い捨ててきたし、

よく知られた名に固執するのはよくない。

ヴォックス・アクマと名乗れば目立ちすぎてしまうし、

これがかなり珍しい名だというのは君たちもわかるね?

まあ良い。いずれにせよ、

私はいずれかの名前をつかって、

その後の展開を期待しつつ、彼らに酒を奢ったわけだ。

さて、

10分も経たないうちに見知らぬ蝶ネクタイの男がやってきて

「幸運に思うんだな。ミス・モーガンが同席しても良いと仰っている」

と言ってきた。

私は「今夜は気分が乗らなくてね。誰かと話す気力はないよ」と返し

そのとき会話していた5人との歓談に戻ったんだ。

そのときの蝶ネクタイの血が昇った顔ときたら

こっちの身体まで温めてくれるんじゃないかというくらいだった。

寒い夜だったんだけれどね。

 

※〜9:42

 

 

管理人
カッコ良すぎる。大人の駆け引きですね!

 

 


【3】

 

 

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※9:43~

しばらくはツレない態度をとって、

日を改めて距離を縮めようかと企てていたんだが、

その必要はなかった。

少しして腰を上げた私が見たのは・・・

もう、わかるね?

ホールの対面に立ちこちらを真っ直ぐに見つめる

ミス・モーガンの姿だった。

彼女は私にグラスを掲げ(=お酒、ご馳走様。頂いているわの意)、

そばへやってきた兄と共に、

二人していかにも話したげな表情をこちらに向けてきたんだ。

二人は私に欲情していた。

そのことがよく伝わってきたよ。

私はこのうえなく慎重な男だから、答えを出すのに数分はかかった。

彼女の容姿は悪くないし、自信家なのも好ましい。

私に惹かれているのも明らかであるけれど、

彼女は、私が自分の元へやってくるのを待っているんだ。

彼女の兄はと言うと・・・

これがなんと言うか本当に、印象深かった。

心を酷くかき乱すような、

これまで私が出会った中でも最も、壮絶に、美しい人間だった。

ありがたいことに君たちの中には

「同性だけど、Milordに惹かれてしまう」と言ってくれる者もいる。

しかし、あの青年に関しては・・・

美しく裕福であるというだけではない。

私に近づくために一般人には到底支払えない金をちらつかせる金持ちなら

これまでも山ほどいたが、

目の前の二人は当時、存命した最も影響力のある人々の中でも

指折りの存在だった。

私は正に、そういう人物を見つけるためにあの場所にいた。

潤沢な資金、そして、後ろ盾となる権威なくして一族を立て直すことは困難だった。

それから更に100年もすれば、インターネットを介して

今のように一度にたくさんの人々と繋がれるようになるわけだが、

当時ではとても。

だから私は「この誘いを断る理由がどこにある」と思ったんだ。

ふふ・・・。

わかるかな、ほら。映画やロマンス小説などには

例のシーンがつきものだ。

ヒロインがワイングラス片手にバルコニーに立っていると

誰かがやってきて隣に立ち、

その後、紆余曲折あってセックスに至る

←ヴァンパイアASMRの冒頭もバルコニーでの出会いからでしたね^^

私がバルコニーに出ると、驚いたことに・・・

ああ、

モーガン兄妹の名前が思い出せないな。

仮にメアリーとジョナサンとしておこうか。

その二人が華奢なワイングラスと共に立っていたんだ。

まるで私を待ち構えていたかのようだった。

当時の常識では、

気になった子に寄っていって

「ご機嫌よう、魅力的な人。君とお近づきになりたいな。

その後で、ベットの中で君をめちゃくちゃにしたいんだけど、

同じ気持ちなら答えて?」だなんて

口にしてはいけなかったんだ。

同性相手なら尚更ね。

だが、偉大なるかの男が言うように

「生命は必ず道を見つける」。

※映画『ジュラシック・パーク』に登場する台詞。
「生命とは存外にしぶといもので、逆境の中でも生き残る道筋を見つけ出す」的なニュアンスらしいです ^^

だから私は、この魅力的な二人と互いに自己紹介しあって

バルコニーを離れた。

メアリーは24歳か25歳、ジョナサンは28歳だった。

これは確かに事実として覚えていることなんだが、

君たちには話しただろうか?

ジョナサンはいっそ馬鹿らしいくらいに色気があったんだ。

ああ、話したな、多分。

私は夜になり、クラブが閉まるまで何時間も彼らと話した。

楽しかったよ。

彼らは非常に魅力的で、ウィットに富み、教養に溢れ、

そして、明らかに私への多大なる興味を抱いていた。

その後、二人が泊まっているホテルに招かれたのだが、

ホテルに到着後、

エレベーターに乗ろうとするとフロントに呼び止められた。

「お客様がロビーでお待ちです。皆様にお話があるとのことです」

と言うじゃないか。

 

※〜12:31 

 

 


【4】

 

 

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※12:31〜 

メアリーが苛立っているのがわかったよ。

でもこれが面白いんだ。

「ふざけんな!」と鼻にかかった声で悪態をつくんだけど、

その声の調子というかなんというか、

高音から低音に変に滑った様子でね。

だが、

ジョナサンが顔で「笑わないでやって(圧)」と語ってきたので、

堪えたよ。

腹が立ったのはこちらも一緒だった。私もひどく欲情していたんだ。

そのとき、誰かが「ヴォックス卿」と私を呼ぶ声が聞こえた。

当然、すぐに振り返って声の主を探したよ。

驚いたことに、そこに居たのは日本人紳士だった。

素晴らしい才能を持った日本人芸術家とパリで出会うなんていうのは

当時、よくある話だった。

この匠の技がまた素晴らしくて・・・と、それはさておき、

その男は私を本名で呼んだんだ。

酒の席で酔った私が自分で口を滑らせたのか、

はたまた、どこかで私のことを知ったのか。

その紳士の態度は非常に礼儀正しかったが、

有力者のご子息とご令嬢を立ち止まらせ

話さざるを得ない状況に置くことができるほどの

何かがあることは明らかだった。

彼の服は上等なもので、作家や音楽家には見えない。

さあ、もうおわかりだね?

彼を見た瞬間、

これは犯罪組織絡みの人間だなと察しがついた。

それが「ギャング」なのか「ヤクザ」なのかは、

是非とも知りたいところだったが。

裏社会では多くの噂が流れていたが、

人々が私についてなんと言っているのかまでは知る由もない。

そんなわけで、私は単純に挨拶から入って

彼に英語で名前を尋ねることにした。

「こちらは、ミスター・カネシロです」とジョナサンが紹介してくれ、

カネシロ氏の方は私に「お会いできて大変、光栄です」と返した。

さて、

信じてもらえるかはわからないが、

私は公の場で大騒ぎするのは好きではない。

気に入りの場所を見つけ、

そこに根差す人々の心を掴み、

自分を強く印象づけるために言葉を紡ぐのが私のやり方なんだ。

魔性の声を操る400歳の悪魔なんて

そうそう忘れられる代物じゃない。

無理やり忘れようとでもしない限りね。

カネシロ氏の話しぶりは、

まるで私を旧友かなにかだとでも思っているような感じで、

それが癪ではあったが、

彼の目的が見えるまでは愛想よく振る舞う必要があった。

加えて先ほど、

カネシロ氏は私の本当の名を口にした。

そのせいで我々は、お決まりのあの流れ

 

「あら。 〇〇(Voxが名乗った仮名)さんは、

ヨーロッパ貴族の出だとばかり・・・」

 

から始まるやり取りを全部やるはめになって、

私は自分が複数のルーツを持っているという話をでっち上げねばならず、

アジア人であることを恥じていないことも話す必要があった。

※ヨーロッパ上流階級の当時の価値観、特定の人種への眼差しが察せられるシーンですので
拙訳だけでは不十分と思い、
Voxさんの言葉のニュアンスが伝わるようこの箇所は原文を併記させていただきます
“Oh, I thought you were lord so-and-so. “
I have to make up something about my mixed heritage,
and how I’m not ashamed to be asian.
 

母方の血筋はフランスとイギリスに縁があるという話は

皆にもわかると思うが、先ほどの説明よりは簡単だった。

その後、

ジョナサンはフランス語では会話しなくなり、

私はこんなことを思った。

「私はただ寝たいだけだったのに。一体、何が起こってるんだ」と。

その間、メアリーはというと

“感じの良い女性然” として振る舞っているのだが、

心の中ではカネシロ氏に向かって

「あんた、このクソ野郎。召されろ!」と言っていたよ。

彼女はカネシロさんに微笑んで、

「カネシロさん。同郷の士と出会うことは素晴らしいことに違いないけれど、

残念ながらもう夜も遅いわ。

明日、みんなでランチに行くことにして

今日はもう、お開きにしましょう」と言ったんだが、

当然、それに対する彼の返事はこんな感じだった

「いいえ、いいえ!ここでこうしてご一緒できたのは、

運命のようなものでしょうから〜」云々かんぬん・・・。

私たちはカネシロ氏の部屋で4人仲良く飲むことになった。

誰も裸じゃない上に、誰一人、ハッピーじゃない。

だが、有難いことに

カネシロさんは日系アメリカ人で英語が堪能だった。

その当時はもう、

故郷(日本)を離れて長く経っていた私にとって、

日本語よりも英語の方が会話しやすかったんだ。

 

※〜15:17

 

 


【5】

 

 

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※15:17〜

我々は音楽や政治、どんな酒が好きかなどについて話した。

私が始終、気になっていたことに話が及んでわかったんだが、

カネシロさんは「モーガン一族」と「ギャング」とを繋げる仲介役だった。

道徳的にかなり・・・かなり、よろしくない複数の裏仕事の調整に

尽力していたらしい。

日本人移民の大半は善良で模範的な人々ばかりだったが、

カネシロ一族に限っては、

米国の東海岸のあちこちで酒の密売をしていて、

ニューヨークでの事業拡大を目論んでいたようだ。

忌憚なく言わせてもらうと、

メアリーもジョナサンも彼らと表立って手を組もうとは

考えていなかったはずだ。

(裏社会の人間など)正に、穢らわしいならず者も同然だった。

ホテルに向かっていた車中で気がついていたんだが、

正直に言うと、私はメアリーと結婚すべきではない。

モーガン一族は有力すぎるが故に、

娘婿の素性を「出生証明書」から何から

あらゆるつまらん書面を調べ上げようとして譲らないはずだ。

私にはそんなものは無いし、

私の写真が国中の大衆誌に載ってしまっては、どうしたって目立ってしまう。

当時はちょうど、

タブロイド誌が普及し、当たり前になっていた頃だった。

ただ、カネシロ氏の弁が立つことは私も認めねばなるまい。

私たちは心底うんざりしながらも、彼の部屋に留まっていた。

彼は話し続けた。

 

“能のない指導者たちが、

いかにして世界をこれほどまでに悲惨な状況にしたのか”

 

“周囲に及ぶ被害を最小限にし、家族のような部下たちを気にかけながらも、

どのように事業を展開させるのが自分の美学なのか” 

 

「歴史的背景を語りすぎて退屈させたくないが」と前置きして、

カネシロ氏は「あなた方はわかっていない。

当時の日本では、ヤクザが中央政府と協力して反企業活動や反政府活動を

暴力によって取り締まっていたんだよ」と語った。

(ヤクザへの理解のない態度を見ることは)カネシロ氏にとって

ひどく嘆かわしいことで、悪人にだって名誉はあって然るべきと

とても詩的に話していたよ。

その後、カネシロ氏は使用する言語を日本語に切り替えた。

意識しないうちに勝手に・・・という素振りをしていたけれど、

断言しよう。彼は意図的に

メアリーとジョナサンを部屋から追い出そうとしていた。

そして、うまくいった。

モーガン兄妹は退屈し、私に「明日また会いにきて」と頼んで去っていった。

私は未だにある種、根に持っているんだ。

彼のせいで、

王者にこそふさわしい3Pの絶好の機会を逃してしまった。

それでもカネシロさんは話し続けたが、

話の内容自体はとても合理的だったよ。

 

※〜17:14

 


【6】

 

 

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※17:14〜

彼は私が何者であるかを正しく理解しており、

やれ「貴方にお目にかかれて、どれほど光栄か」だの、

「命をかけて徳川と戦った貴方の物語を聞いて育った」だの、

「貴方ほど、臣下との間に強い結びつきを持った主君は他にいない」だの、

たくさんの世辞を並べていた。

まあ、口の上手い者同士だ。

私も裏があれば気づくし、普段なら自ら口車に乗せられたりはしない。

私が「忘れろ」と命じれば、

いつだって、彼の記憶を消すことができるのだから。

ただ、カネシロ氏は自分のすべきことを知っていたよ。

「今こそ、一族再興の機会です。

苦しみぬいてきた人々が幸福に、安全に過ごせるようにしてやってください」

と言われた。

言うまでもなく、

あの言葉には非常に、非常に、興味が湧いた。

その後、話は

私もカネシロ氏とモーガン兄妹と共に

ニューヨークに赴くという方向でまとまった。

彼らと手を組む可能性が高まったからだ。

ふっ・・・、さて。

彼らは私のために、ある豪華客船のファーストクラスを手配してくれた。

船の名は知らないが、まるで海に浮かぶ宮殿のようだった。

私の船室は優に15人は泊まれる広さで

これは言わせてもらいたいんだが、同室の客が複数人いたんだ!

キンドレッドの中には未成年もいるから詳しくは語らないことにする。

収益化を剥奪されたくないしな。

ま、まあ、あれだ。ビジネスについての話に戻そう。

さっきの話についてはこれ以上、答えられないから。

ああ・・・、ああ。

言うまでもなく、

その時点で、私とモーガン兄妹とはかなり親密になっていたから

乗船の間は彼らのコミュニティーの中でゆったりとくつろいだ。

←さては「同室の複数人」の中にモーガン兄妹がいたな・・・

私が本名を語らなくても、私がどの民族にルーツを持っていようとも

誰もそれを気に留めなかった。

カネシロさんは、

私が自分の肩書きを証明する文書を持つためには

どこに依頼すれば良いかを正しく把握していたが(=身分証の偽造)、

自分の身分を”日本の男爵” にしたのか、

“東欧の男爵” にしたのかさえ、今では覚えていない。

けれど前述のように問題はなかった。

誰もが理想とするような「その人」を、私が演じたからね。

旅行が終わるまでの間に、

私は実際にメアリーのことを気に入るようになった。

彼女は酔っているときは陽気で、ポーカーがクソほど上手かった。

ジョナサンは気の良い若者で、ごほんっ

彼も間違いなく上手だったよ・・・ポーカーがね。

まあ、わざわざ言わなくてもわかるだろう?

 

※〜19:14 

 

 

 

管理人
察し

 

 

 


【7】

 

 

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※19:14 〜

まあ、ともかく。

ニューヨークまでは12時間ほどかかった。

あの夜に悪魔城で起きたことを悪夢に見てしまった私は、

(再び寝入ることはせず)夜遅くまで起きていた。

新鮮な空気を求めデッキに出ると、

これもまた映画の一幕のようなんだが、

待っていたのはバルコニーでの色っぽい出会いなどではなかった。

角を曲がろうとした私は、足を止めた。

なぜなら、デタラメな話で私をコケにする友人の声が聞こえてきたからだ。

どれだけ飲んだのか知らないが、

カネシロはかなり酔いが回っていたに違いない。

自分達の計画がどれほど順調に進んでいるか、

その内容を話してしまっていた。

私を手中に収めんと企む者が、まだ大勢いるらしいことがわかった。

カネシロは私が配下を従え力を強めるのを待ってから、

裏の人間に私の正体をバラし、莫大な報奨金を集めようとしていたらしい。

私も子供じゃない。

これが初めての裏切りというわけでもないし、

泣いて飛び出し「どうして私にそんな真似ができる」と問いただしたり、

ディナーフォークで彼を解体したりはしないよ。

ただ短い時間、考えてみたんだ。

“このまま、カネシロの計画に従って過ごし

私の正体に関する噂が広まる前に、彼を殺したらどうなるだろう” と。

メアリーとジョナサンは私の本名を知ってしまったが、

「若気の至りの恥ずかしいニック・ネームなんだ。掘り返さないでくれ」

と言えば片付く。

まだ一族再興の可能性は残っていた。

細かいことは後々、気にすればいい。

私はとても想像力豊かでね。この後の展開はわかっていた。

計画通りにいけば私たちは下船後、

電車に乗ってボルチモア(※下に地図を載せました^^)にある

モーガン一族の本家へと向かうだろう。

彼らの懐に入り込み、魅了し、

婿に入るか欲しいだけ金をもらうかするんだ。

そしてカネシロの仲間に会い、彼を殺し、

邪魔をする者は誰であっても葬り去り、

情報屋と護衛を自分で雇って思い通りに支配し

命続く限り、私が望む全てを欲しいままにする。

我が一族の成長を見守り、

彼らが生まれてから死ぬまでの人生を見届ける生き証人となる。

老衰で死ぬ者もあれば、私を守り凶弾に倒れる者もあるだろう。

問題なのは・・・

これに関しては、想像力を働かせる必要がないということだ。

私は知っている。

彼らが亡くなったとき、自分が何を思ったのかをね、キンドレッド。

勢の人の死を前にしたとき自分がどうなってしまうのか、私は知っている。

今からしようとしている事は叶える価値のある夢なのか、考える必要があった。

私が最初に抱いた真の望みを思い出さなくてはと思った。

流行病や大規模な殺戮を少しでも多く防ぎたい。

そうした苦難は真の指導者がいれば回避できるものだ。

つい今しがた夢の中で再び悪魔城を見たばかりだったし、

過去320年の間、金持ちの家に入り一族を継ぐこと含め

大して何もしてこなかったのには理由がある。

退屈に孤独に時を過ごしても現実は変わらないのにな。

「怖がり」と言われてしまえば、まあ、そうなんだろう。

 

※〜21:59

 

 

 

 

▼補足

アメリカ、メリーランド州・ボルチモア

Googleマップより

 

 


【8】

 

 

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※22:00〜

結局、少なくともその当時は

誰かと結婚したり、誰かを殺したりはしなかったよ。

私がしたことと言えば

カネシロの部屋に忍び込み、彼が通話していた相手を電報を見て調べ、

そのうち幾つかを燃やし、

全ての酒をカーペット中に撒き散らし、

強盗の仕業に見せかけるべく現金、その他貴重品を拝借した程度だ。

メアリーとジョナサンは悪人ではなかったが、

少し気取ったところがあり、目下の者への慈しみの心が欠けていた。

そんなわけで、二人の物も少しだけ盗っておいたよ。

その後は全ての客室を荒らし回った。

自分の客室をポイする前に少額でも金をかき集められたのは収穫だったな。

これは遊び心からの実験だったんだが

誰かが私を誘拐したように見せかけようと

英語と日本語で書いた身代金要求の脅迫文を置いてみたんだ。

「無事に帰してほしかったら1万ドル用意しろ」とな。

Googleによれば現在で言う14万ドル(約1800万)相当らしい。

金持ちにとっては小銭も同然の額だ。

そうして私は船を下りた。

岸まで小舟を出してくれた紳士には感謝しているよ。

私に関することは忘れてもらったがね。

あの客船が着岸する前に街から出る方法も、その男に教えてもらった。

街に着いてから一つ、馬鹿なことをしてみたんだ。

身代金引き渡しの期日が来るまで、安いホテルに一週間ほど滞在し

約束の日に指定した場所に行ってみたんだが・・・

誰も来なかったよ。

 

※〜23:07

 

 

 

 

ー終わりー

 

 

 

 

管理人
もう100年もすると、あらゆるイベントに死に物狂いで駆けつけ、グッズを手に入れるkindredたちに囲まれます(泣)
それはそうと、ルカくんのご先祖らしき方が本物のmean and evilでちょっと面白かったです

 

 

 


まとめ

 

 

今回、歴史的な事柄や人種への言及もあった点から、

素人訳が原文におかしなフィルターをかけてしまわないように、

可能な限りニュアンスをそのままにと意識して文字起こししました。

 

こうした話題の場合は特に、文脈なく台詞だけを切り取ってしまうと

誤解の元となり危険であると認識しておりますので、

ストーリー全体を取り出し和訳することで

Voxさんの意図しない台詞だけが一人歩きしないようにできればと思いました。

 

皆様のお役に立てていたら幸いです。

 

 

 

 

次回、レン・ゾットくんのお叱りボイスの和訳を挟みまして

続きの訳も近日中に公開できればと思いますので、

またお時間のあるときに、覗きにいらしてください ^^

 

 

 

▼ちょっと話題に出しましたが、貴方とVoxがバルコニーで出会うASMRはこちらです
始まり方も素敵ですが終わり方もすごく面白かったので、拙訳でよかったら *^^*

【Vox / RP ASMR和訳】ヴァンパイアの館に招かれた貴方は・・・【ヴォックス・アクマ吸血ボイス/日本語訳】

 

 

 

▼後日追記
つづきを公開しました ^^

【Voxロア和訳】1984年、マイアミ編・不思議な女性の正体は? 【Vox lore, the mysterious woman】

 

 

 

 

 

 

 

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