【Voxロア和訳】1984年、マイアミ編・不思議な女性の正体は? 【Vox lore, the mysterious woman】

 

 

本日は、にじさんじEN

Vox Akuma/ヴォックス・アクマさんの昨年1月の配信、

 

 

 

管理人
最近、本当に寒いですね💦
皆様も暖かくしてお過ごしください

 

 

 

▼同じ配信で語られた別の物語はこちら

こちらは1920年代のお話なので、時系列で言うとパリが先。今回のマイアミ編が後となります ^^

【Voxロア和訳】1922年、パリ編・カネシロ氏との出会い【Vox lore, kaneshiro family】

 

 

 

※動画が再生されて発生した広告収益は全て、動画権利所有者とYouTubeの間で分配されます

※誤訳も多いかと思われます。申し訳ありません。もし、目に余る誤訳がありましたら、大変お手数をおかけいたしますが記事下部のマシュマロよりご連絡いただけますと幸甚です


1984年(昭和59年)、ミステリアスな未亡人との出会い

 

 

【1】

 

 

▼動画をクリックいただくと該当シーンからスタートします

・スピードが速いよという方は、画面右下の歯車で速度調整をしていただくのがオススメです
・記事自体をリロードしていただくと再生位置がリセットされます

 

※25:24〜

次の話は1984年の出来事で間違いないはずだ。

当時の私は、最高の気分とは言い難く

色々とこなしながらもーー

その正確な場所はわからないんだが・・・

決して、

あえて気難しくなろうとしていたわけじゃない。

けれど、あまり楽しい時間を過ごせてはいなかった。

数世紀もの時を跨いで生きる私から見れば、

どの年代も似たり寄ったりで、

まあ、言いたいことはわかるだろう?

時の流れを測る方法が唯一あるとすれば、

20世紀に世界がどれほど変化したのかが私の基準だ。

1800年代には大きな躍進があった。

その主たるものが「大気汚染」で、

「産業革命」に関しては実に不愉快だったな。

忌憚なく言わせてもらえば1900年代に至っては

人類は全く、正気ではなかった。

馬車から飛行機に乗り換えて、

地球中どこでも飛んでいけるようになったのだから。

“そのとき車があったかどうか” に基づいて

私は記憶を整理しているんだが、

あちこち移動するのが容易になったし、

人々は常に新しい何かを考えては生み出していた。

けれど、

「私は残りの人生を、こんな風に過ごすつもりだったのだろうか」という

思いが湧いてきてしまって・・・。

ある種の虚無感とでも言おうか、

目標が見つからず、常に憂いが晴れなかった。

1984年、

私はとあるご婦人と出会った。

マイアミへ向かう旅の道連れを欲していた、未亡人だ。

1980年代のマイアミについて、

君たちがどれくらい知っているのかわからないが、

そうだな・・・かなり・・・かなり。

すまない。この件(くだり)は先ほどもあったな。

繰り返してしまったが、

1930年代のパリからファション性を差っ引いて

身分階級を完全に取り除いた感じを想像してほしい。

そこに、銃撃されて殺される可能性をかなり多目に足したのが

マイアミだ。

海外旅行が身近になると同時に、

人々がいがみ合う機会も増えていった。

←異文化交流から起こるすれ違いや、

旅行者狙いの窃盗など、当時も色々あったのでしょうか・・・

しかし、

私が同行したその女性は、とても尊敬できるお人柄だったよ。

彼女の名はミス・ジャクソン・・・だったかな?

マイアミの辺りに幾人か訪ねたい親類がいるとかで、

正直に言うと、

私はてっきり彼女が、世のおば様やお婆様が泊まるような

まともなホテルに滞在するものだと思っていたんだ。

日中は私を自分の好きなように過ごさせて、

その間、ジャクソン夫人自身はボートに乗ったり

ワニに餌をやったり、

フロリダで子連れの家族がするようなことを

やったりするものだとばかり思っていた。

 

※〜27:07

 

 

 

▼アメリカ合衆国、フロリダ州、マイアミ

どこからマイアミに向かったのか、その出発地点は謎のままですが、
一つ前のロア(1922年)に出てきたニューヨーク&ボルチモアとの位置関係がわかるように経路を出してみました ^^

 

Googleマップより

 

 

 

 

管理人
昔のキューバ付近と聞くと「キューバ危機:1962年、ソ連がキューバに核ミサイル基地を建設していることが発覚。米ソ関に緊張が走った出来事」を思い出す方もいらっしゃると思うのですが、そこから20年ちょっと経ったくらいのお話と思っていただくとわかりやすいかもしれません

 

 

 

ちなみに1984年(昭和59年)の日本では、

3月にスタジオ・ジブリのアニメ映画『風の谷のナウシカ』が公開されていました。

日本人がナウシカしてる間、Milordはマイアミに居たわけですね(*^^*)

 

 

 


【2】

 

 

▼動画をクリックいただくと該当シーンからスタートします

 

27:07〜

・・・と思っていたんだが、

着いたのは豪華ホテル最上階のペントハウス(=スイートルーム)で、

ジャクソン夫人は毎晩、人を呼び朝の5時までパーティーを開いた。

詳細については割愛させていただく。

我が右腕のおにぎりが何と言おうと、

※モデレーターのおにぎりさんのこと

私は充分に良識のある鬼なのでな。

「楽しい一時を過ごした」とだけ述べておこう。

問題は、

マイアミが犯罪多発地帯だったことだ。

1922年の話で触れたように、

私はとあるグループの間で少しばかり名が通っていてね。

今回は身バレを防ぐべく、名刺やいつもとは違うメイクなど、

前よりも力を入れて別人になりきる手立てを用意した。

しばらくの間、万事が首尾よく運んでいた。

嫌な奴も多かったが笑って相槌を打ってやり過ごし、

私が聞かせたいと思った話だけ、奴らに聞かせてやった。

まあ、みんな元気だったし、あれだよ・・・ほら、

これで話は終いだ。

・・・嘘、冗談だよ。

パーティーの間、ヤクザの夫婦含めたくさんの犯罪者に出くわしたが、

馴染み深く便利なこの声を使い、私に興味津々な人々を回避した。

物事は順調に進んでいた。

そんなとある夜、

私はペントハウスに入ってきたある集団を見て、

とても嫌な気分になった。

その中に居た女性の一人が振り返って私を見つめてきたんだが、

私は腹を下したふりをして部屋から出ようとしたほどだ。

←もっと他に方法なかったんですかMilord

いや、

見つめられるのは別に構わない。

正直に言えば、

人間が誰も私を見つめないなどということがあっては、

その方が不自然に感じる。

ただ彼女の視線は、普段、私が感じるような

欲情や好奇心等に満ちたものではなかったんだ。

彼女は身じろぎ一つせず、ただじっと、私を見つめていた。

私が不快な気分になった原因はなんだと思う?キンドレッド。

その集団の少なくとも半数・・・

おそらく10〜15人ほどだな。

人間ではなかったんだ。

彼らは人に扮(ふん)した「妖怪」だった。

現代の人々は悪魔やサメ、蝶、ドラゴン、狐や

それらにまつわる他の生き物に対し非常に寛容な考えを持っているが、

80年代はそうはいかない。

人ならざる者が人に紛れどこかへ行こうとするならば、

“人” に見える必要があった。

コンタクトをすれば、

私のこの驚くほどに美しい瞳に気がつく人間は誰もいないだろう。

つまり何が言いたいかというと、

君たちは「It takes one to know one/同類だからわかるんだ」という言葉を知っているかな。

※批判されたときなどに「自分がそうだから人のこともそう思うんだろ!」というニュアンスで使用する言葉

我々のような種族は、

お互いをよく見さえすればいつだって互いを認識できる。

彼らは間違いなく妖怪だった。

部屋の中でその集団の大半だけが、そうだったんだ。

妖怪と聞いて皆が誰を想像したのかは、私にもわかるよ。

←このときチャット欄ではシュウくん、ニナママ、おにぎりさんの名前が挙がっていました

私の頭にも彼のことが過ぎったからな。

でもその中に彼は居なかったよ。

大勢の妖怪が真っ直ぐに私の元へやってきて

不快なことに、こう切り出した。

「おや〜、こんにちは。ヴォックス殿」と。

 

※〜29:26 

 

 

管理人
Voxさんの話しぶりからして、会えて嬉しい集団では無さそうですね

 

 


【3】

 

 

▼動画をクリックいただくと該当シーンからスタートします

 

※29:26 〜

私は、徳川との戦い以前のその昔より見知った顔が

いくつかあることに気づいた。

こいつらが私の臣下(人間)を食べるのを止めなかったから、

私は一時、彼らを臣下から遠ざけ追い出すために、

天守閣の屋根の上で戦う羽目にまでなったんだ。

この傲慢な野郎どもは

「あなた達が愚かにも大袈裟に騒ぎ立てていただけですよ」、

「今となっては昔の話。わだかまりなんてありませんよね」

とでも言いたげな様子で話しかけてきた。

そこで判明したんだ。

私の勘は正しかった。

こいつらは、

ほとんどが妖怪で構成されたヤクザ部隊の一員だったんだ。

その頃はちょうど、

実業家や経営者が不動産業に参入しようとしていた頃だったんだが、

そういう長くて退屈なだけの話は場を盛り上げはしない。

〜ドリンク休憩〜

ジャクソン夫人はかなりの財産(土地や不動産物件など)を所有していて、

彼らが夫人と話しにきた際、

私はたまたま偶然、そこにいた。

それで、何か気の利いたことを言おうと思ってね、

「最後に連絡を取ってから随分経ちましたね。

徳川とその臣下よりも長生きできた。なんと気分の良いことでしょう」

と言ってみた。

「徳川のヘアスタイルは馬鹿げていた」とも言ったな。

なぜなら、まあ、当たり前のことなんだが、

その話をしている当時も80年代だったから、

私を除いて他全員、馬鹿みたいな髪型をしていた。

けれど、ほら。そこは重要ではない。

場は盛り上がったよ。

私はどっと疲れていたが、微笑みは絶やさなかった。

しかし、私は彼らの話に興味を持てなくてな。

彼らもそれには気づいていたはずだ。

にも関わらず、

彼らは私に自分達のビジネスの進捗を話して聞かせた。

彼らは私が残した功績に関する噂は知っていたが、

それが事実かどうかまでは知らなかったんだ。

私は奴らがクソどうでもいい本題を切り出すのを待った。

思った通りだったよ。

その数分後に奴らの一人が言ったんだ。

「ねえ、ヴォックス殿。

今や貴方に懸賞金をかけようという輩は一人もいません」

周りを見ると、他の者も頷いている。

私は肩をすくめて言った。

「それは良かった。インフレも進んでいることだし、

私を買う経済的余裕のある奴なんて居らんでしょう」

再び場が沸いたが、私にはわかった。

彼らは心から真剣だった。

「貴方は我々と共に行動すべきです。ヴォックス殿」と、

先ほどの男が言った。

奴らの中で会話の主導権を握っているのはこの男だった。

「今と昔で物事は大きく変わりました。貴方の手助けがほしいのです」と。

私は「畜生が、またこれか。うんざりだ!」と思ったよ。

←1920年代、同じようなことをカネシロ氏に言われましたからね^^;

だから声を上げ、「階下に飲み物を取ってくる」と言い訳して中座したんだ。

なのに!

奴らときたら私に着いてきて離れようとしない。

おまけに最初に目が合ったあの女は、まだ私を見つめつづけている。

そんなこんなで、

私はまたすぐに上階のペントハウスに逆戻りし、

あのくだらない話の続きを聞かされなければならなかった。

 

※〜31:33

 


【4】

 

 

▼動画をクリックいただくと該当シーンからスタートします

 

※31:33〜

前に聞いたのと全く同じ戯言だった。

「人間はもう一度(妖怪に対する)敬意や尊敬の心を学ぶ必要がある」とか、

「今の人間は誰も、妖怪がいかに社会に貢献してきたかを知らない」とか、

「私たちにはヴォックス殿のように立派な指導者が必要だ」とか・・・。

私は「おや、まぁ!(呆れた)」と思ったよ。

奴らは人間に行儀良く正しい道を歩ませるために

(=人間を管理するために)

私のような立派な人間が必要だと言ったんだ。

意味がわからなかったよ。

付き合っていられない。

だから私は、彼らに

「あなた方のまとめ役は誰なんだ」と聞いてみることにした。

彼らは「うちのボスは弱気で頼りなくて、我々が人を食うことを禁じたんですよ」と、

なんだか呆れたような顔で色々、言っていたな。

ただ、奴らのこの返事に関しては

私も大変、興味をそそられたことを認めねばなるまい。

当時のその時点で、

どれくらいの妖怪達が生き残っていたのかはわからないが、

妖怪は非常に長生きする傾向があるため

徳川や徳川付きのハンターに殺されない程度に賢ければ、

おそらくまだ、生き残っている可能性があった。

私は彼らに言ったよ。

「君たちはとても愚かに見える。明らかに、

そのボスがいなければ、君らはとっくに人間に滅ぼされているぞ」と。

←目立たずにきたから生き残れたのに、

人なんか食べて目立ってどうすんだ?ってことですね ^^;

けれど、面の皮の厚いクソ妖怪は言った。

「人間に殺される可能性については全て把握しています。

でも大丈夫。今いる全ての妖怪たちは、皆どこかで

人から危害を受けながらも生き残っています。

人類がどんな武器をいくつ開発するのかなど

誰にも予想ができないのだから、

そんなことは心配なさらないで良いのです」。

私は言ったよ。

「心配などしていない。400年以上前のくだらん栄光に

しがみ付くより、他にやるべき事があるだろう」と。

そうしたら、

「そうですねぇ。貴方はその『くだらん過去の栄光』の扱いがお上手だ。

王者の風格ですね」だとさ。←嫌味

全員で私を嘲笑していたよ。

さて、

そのうち酔っ払って打ち解けた気になったのか、

妖怪のうちの一人が息が嗅げるほど側へ来て、こちらに寄りかかってきた。

私は咳をし、手を振って奴の息を遮った。

こんな風にーーー

ゔっふぉ、ゔっふぁ、えっBruugsh、ふしゅふしゅ〜しゅっ!

そして、彼に尋ねた。

「まだ人間を食っていることがボスにばれた場合、

君はどう対処するつもりなんだ?」と。

すると、妖怪達はしーんと静かになり、男は言った。

「たった一晩だけのことですよ。大したことじゃない。

たった一度だけだったんです」。

普通に”大したこと” だったよ。

事態の収集のため警察に報告しなければならない人間にとっては。

私は彼らを論理的に諭した。

「私は『具体的にどう対処するつもりなのか』と聞いているんだが」と。

すると男は心底ムッとした顔をして、

「はあ、我々に言いたいことがあるようだな。悪魔」どうたら、こうたら。

「悪魔に他人の食生活を批判する権利などない」とぬかしたんだ。

これには

「お生憎様。私は人肉を食べませんから、ご心配ありがとう。

それしか食べられない妖怪だったら、パーティーになど顔を出さない」

と返した。

つまり、このペントハウスに食えそうな物がないからといって、

それが人を食べる言い訳にはならないんだ。

すると誰かが私に聞いてきた。

「ヴォックス殿は満足に食べれているのですか?」と。

私が「人間の食べ物しか食べていないよ」と言うと、

そのまま引用するが、

「ああ、だからそんな腰抜けなのか」と言われたよ。

※pu**yはかなりキツイ罵り言葉で、Milordは喧嘩を売られています

そうきたか。

私一人に対しそのとき敵意を向けてきた連中は

4、5人程度しか居なかったから、

ひょっとしたらこの私も

何か厄介ごとをしでかしてしまっていたかもしれない。

気楽に受け流してやれるような気分でもなかったし、

彼らもそれを察していた。

腹をすかせた悪魔を刺激するなんて健康に悪い。

けれど、そのときだ。

突然、誰かが言ったんだ。

「みんな、やめましょう。こんな馬鹿に構うのは時間の無駄よ」と。

 

※〜34:13

 

 


【5】

 

 

▼動画をクリックいただくと該当シーンからスタートします

 

※34:13〜

見るとそこには、

先ほどから妖怪たちと一緒だった女性が立っていて、

彼女はほとんど全員が紐ビキニを着た

若く美しい十数名の女性達と一緒だった。

「大きなバスタブでも探して、

何か他にできることがないか探してみましょうよ」と、

彼女は妖怪の中で一番うるさかった鬼の腕を捕まえて

引っ張っていったんだ。

その夜、それからその女性に会うことはなかったな。

私はまだかなりイラついていたからね。

「クソが」と呟いてから、階下のバスタブへ降りていった。

その後、

友人3人と一緒に女の子の部屋に招待されたんだが、

誘いを断って一人のレディに、いや、4人か。

4人のレディに恥をかかせる権利など私にはないからな

(もちろん、お邪魔したよ)。

あの夜、どれくらい飲んだかは神のみぞ知るだ。

ただ、次の日に目が覚めてコンタクトをつけたままだったし、

服がほとんど見当たらなかったから、かなり飲んだんだろう。

しかし、そんなことを心配している場合ではなかった。

なぜかってホテルから内線で電話がかかってきて、

「貴方が逃亡したとの噂を聞いたジャクソン夫人が、

あなたの持ち物を全て、ホテルの廊下に放り投げてしまいまして」と言うんだ。

幸運にもベルボーイができる限りスーツケースに戻しておいてくれたお陰で

そんなには無くさずに済んだがね。

気分は良くなかったよ。

完全に私が悪かった。

親切にしてくれた人を傷つけるのは嫌いだ。

私はホテルの備品の便箋に謝罪文を書き、

夫人のお手伝いさんに頼んでそれを届けてもらった。

私はまだ前の晩に訪れた女性たちの部屋にいて、

そこで何があったかは当然ながら明白だったが、

謝罪文は功を奏し、なんとか誤魔化せたよ。

女の子のうちの一人が私に

「ねえ、明日なんだけど、うちの家族のヨットで一緒にハイチに帰らない?」

と尋ねてくるまでは上々だったんだ。

※ハイチ:キューバのちょい右下にある国

彼女が本気なこともわかったし、

実際、彼女の家族はヨットを所有していたから

私はありがたく、その提案を受け入れたよ。

(二日酔いで)頭がまだ強烈に痛かったんだが、

腹が減っていた私はホテルのレストランに向かうことにした。

そこのメニューにあった特大のハムたっぷりオムレツを注文し、

そこでもやけ酒をあおった。

素敵な休日とはどんなだろうと想像してみたよ。

素敵な休日に・・・

どこか行ったことのない遠い場所へ行く・・・。

けれど、

頭を過ぎるのは昨晩、あのクソ共が話していた徳川の話と、

“日本に帰ったところでもう、私を覚えている人間は

一人も居ないのだ” という事実だけだった。

なあ、こんなにも愚かな話があるか?

私は何世紀もの間、日本に立ち寄ることさえ避けてきたのに。

妖怪達が事実を語っているとすれば、

今、日本に戻ったとて身の安全を脅かされることはないんだ。

なのに、私はそれを知って少し気落ちした。

もう私には「殺したいほど憎い」と思ってくれる人さえ居ない。

だからこうして、ここに居て

ホテルの豪華なテーブルに、負け犬のような気分で一人虚しく座っている。

 

※〜36:26 

 

 

 

管理人
憎い敵も土に還って、きっと、自分には何もないような気持ちになってしまったんですね・・・

 

 

 


【6】

 

 

▼動画をクリックいただくと該当シーンからスタートします

 

※36:26 〜

人々がホテルのレストランの前を通り過ぎてゆく。

ふと、こちらに向かって真っ直ぐに近づいてくる

ハイヒールのコツコツという音が聞こえた。

見ると、いやはや、これは驚いた。

昨日見た妖怪女が目の前に立っているじゃないか。

まるで私が彼女のコーヒーの中に唾でも吐いたかのように

こちらを睨みつけている。

彼女はどデカい肩パットが入った80年代特有の

バカみたいなビジネススーツでキメていた。

客観的に見るなら、彼女は魅力的だったのだろうな。

しかし、

彼女の態度に私は不快感を覚えたし、

向こうも明らかに私を嫌っていた。

「ヴォックス殿。ご一緒してもいいかしら?」と声をかけてきた彼女に

私は「冷やかしか?だったら、とっとと向こうへ行ってくれないか」と返した。

けれど、

彼女は椅子を引っ張ってきて私の向かいに座りだしたんだ。

その次に、ウェイターが水とベーグルか何かを持ってきた。

私はち○こみたいなやつ(=ソーセージ類、肉類)がないと

気分が上がらないのに。

←お肉大好きですもんね ^^;

だから、私は微笑みつつ彼女に「場所を移せないか」と尋ねた。

でも、上手くいかなかったんだ。

私のこの声は妖怪に対しても効力を持つのに、

彼女は「そうね」とは言ってくれたが、まだ私を睨みつけている。

どうしていいか、わからなかったよ。

彼女は言った。

「鈴木さんが貴方に迷惑をかけることは、今後ないから。

『人間を食べている』と彼が口を滑らせるきっかけをくれて、ありがとう。

青年たちの中の少なくとも一人がまた人間を狩ったことは把握していたけれど、

誰かまでは特定できていなかったの」

「あ〜・・・。ということは、君が彼らのボスか?」

彼女は頷いた。

「貴方に会えるとはーー

ここで貴方に会えるとは思っていなかったわ、ヴォックス殿。

ねえ、個人的にとても気になっていることがあるの。

貴方は今、幸せかしら?」

この質問には「またかよ、ループしてる」と思ったね。

どう返していいかわからなかった私は、ただ微笑んで

「旅行とは良いものだよね。

美味しい料理に気のいい仲間があれば・・・、

きっと、すごく楽しい旅になる」的なことを言ったよ。

・・・はぁ。

するとどうだ、キンドレッド。

彼女は北欧神話の神、トールがハンマーを打ち下ろすがごとく、

その拳をテーブルに打ちつけたんだ。

テーブルの真ん中にはヒビが入った。

私は・・・私は、口をあんぐり開けて彼女を見たよ。

ブチギレた彼女は言った。

「400年以上の間、ずっと君のことを考えていた。

なのに、君がしてきたことはそれかい?

まるでその辺を遊び回る愚かで軽薄な若者じゃないか!?」

そう。

ここで私は彼女を見つめた。

しっかりと、しっかりと、見つめて・・・

そして、気が付いた。

「ごめん、おにぎり」。

私は彼に言った。

そのあと「それはそうと、良い乳してるな」と付け加えた。

 

※〜38:21

 

 

 

管理人
ペントハウスで出会ったときからMilordをじっと見つめていた女性。美女軍団を口実に(おそらく)鈴木を引っ張っていった彼女の正体はなんと・・・おにぎりさんでした!

 

 

 


【7】

 

 

▼動画をクリックいただくと該当シーンからスタートします

 

※38:22〜

彼は私に向かって「クソ忌々しい!」と言い放った。

おにぎりは人間の女性へ変化した姿を維持してはいたが、

声だけは本来の彼の声に戻っていた。

みんな、そうあまり興味津々に見ないでほしいんだが、

こんな・・・こんな声だった。

「今の君の話を聞いて、僕が何に一番、憤慨しているかわるか?

もう僕は君に生きていてほしかったのか、

いっそ、死んでいてほしかったのかもわからないよ!

もし仮に、君が生き残っていていたなら、

また新たな一族を作ろうと実際に行動していたなら、

僕はどこかの時点でその噂を耳にしたはずなんだ。

君が生きていてもう一度、一族を再興しようとしていたなら、

今日になるまでのどこかで、噂は僕まで届いていたはずだ。

そして、もし徳川との戦いで君が亡くなっていたとしたら、

僕は君の亡骸を見つけ、厚く丁重に弔っていただろう。

でも、どれも違った!

君は生きてここに居るんだ、ヴォックス・アクマ。

声の悪魔はその力を無駄にして過ごしている。

下着モデルの尻を追いかけている今の君に、

プライドは残ってる?

それとももう、すっぱり諦めてしまったの?」

おにぎり。

今だから君に言うが、

公衆の面前で私に立ち向かったのは賢明な判断だったな。

そうでなければ私は何か荒々しい手段をとってしまったかもしれない。

←自覚があったからこそ、

図星を突かれてMilordも血が昇ってしまったんでしょうね

そのときの私はただ、こう返した。

「ああ、本当に?

君に密かに採点されていただなんて気付かなかったよ。

これりゃ、驚いた」。

「ああ、衆目を集めてしまっているな。

でも、構うもんか。君が言う通りさ。

僕は君の生き様を批評してるんだ!

僕が単なる “噂話” を追いかけて時間を無駄にしていたとは

思わないことだね。

その証拠に、我が主が4世紀もの時間を浪費して

馬鹿みたいに過ごしていた事実を突きとめたんだから。

君には何でも叶えられる力があるのに、

こんなに無駄に過ごして一体、何をしているの?」

私は言った。

「ああ、そうさ。私は自分の可能性を無駄にしている。だろ?

でも、その “可能性” が何になる?

ホワイトハウスに行って大統領を説得し、

アメリカ全土を譲渡してもらうのか?

それとも、我が炎の剣を片手に攻撃をしかけ、

悪魔一門のためにこの土地を奪いとるのか?」

「そんなの上手くいくわけない。

君ともあろう人が、そんなこともわからないなんて。

君はそんなことのために生きてきたのか?

気に入った人々の中でその行く末を見守り

家を引き継ぐことだってできただろうに、そうしなかった。

そりゃあ、多大な労力がかかるだろうことは想像に難くないが」

〜おにぎりさんからMilordにクレームが入る〜

あ、おにぎり。これは君の声真似だよ。

今、彼からクレームが入ったんだが、

「僕はそんな声じゃありません」だそうだ。

なあ、おにぎり。君は認めるべき・・・

〜Milord、ちょっと酔っ払いタイム〜

いつもこんな声じゃないか。

まだ、異論があるみたいなんだが

彼の声は本当に(スポンジ・ボブに出てくる)

ジェンキンス爺ちゃんみたいな声なんだ。

〜スパチャ〜

 

※〜40:51

 

 


【8】

 

 

▼動画をクリックいただくと該当シーンからスタートします

 

※40:51〜

その時点で、私のテーブル担当のウェイターは

料理を運んでくる準備ができていたと思うんだが

私は座ったまま目の前の女性に怒鳴っていて、

女性の方も私に怒鳴り返していて、

テーブルはと言うと、バラバラに崩壊していた。

←料理を置く場所がない!^^;

正直に言って、

これを片付けなきゃならない人のことを思うと、

申し訳なくなったよ。

店の人はただ、我々の会話を邪魔しないようにしてくれたんだ。

料理が来ないからと言って、誰が責められようか。

私はおにぎりに言った。

「じゃあ、お前は私が何をやっていたら満足だったんだ?

悪魔が人間の側に長く居つづけると何が起こるかなんて、

お前も知っているだろう?

←昔はそれで徳川に目をつけられ、大切な一族を亡くした

そうしてまだそこに座って『君は間違ってる』と言い続けるのは、

お前もあのクソガキ(=鈴木)みたいに人間を食っているから

なんじゃないのか?」と。

なあ、キンドレッド。

信じてくれるかい?

我々の可愛くて、面白いモデレーターは

そのとき私の目を見てこう言ったんだ。

「だから言ったでしょう。もう心配は無用。

鈴木は僕が殺しました」。

鈴木が人を食ったからだ。

どうやら、おにぎりのまとめる組織では

人を食べている姿を見られた者は散歩に連れ出されたが最後、

二度と帰ってこないらしい。

そとのき聞いて知ったことなんだが、

我々が悪魔城から妖怪を追い出した後、

徳川との戦いに敗れたという噂が広まった後に、

おにぎりは人間たちにチャンスを与えることにしたんだそうだ。

おにぎりは言った。

「僕は妻と子供たちに人間に擬態してもらい、

家族で(悪魔城があった周辺の)地元の村に引っ越して

人々が我々を歓迎してくれるかどうか試しました。

彼らは温かく迎えてくれた。

僕らは彼らを積極的に手助けし、

彼らも僕らに対し、まるで家族のように接してくれました。

村の人々は『悪魔卿の残してくださったものを大切にしたい』と

言っていたんですよ」。

 

※〜42:07

 

 

 

管理人
悪魔城周辺に住む地元の方々は「人喰い妖怪から守ってもらった」というご恩を忘れてはおらず、悪魔城の生き残りに擬態したおにぎり一家を温かく迎えてくださったのでした

 

 

 


【9】

 

 

▼動画をクリックいただくと該当シーンからスタートします

 

※42:10〜

今だから言わせてもらうが、当時の私はこれを聞いて

「こいつは私をおちょくって馬鹿にしてるのか?」と思った。

というのも、

私は以前、彼の奥さんに会ったことがあるんだがーー

そう。

おにぎりは結婚しているんだ。

そう、チャットの皆が言うように、おにぎりは妻帯者だ。

彼の妻は人間が大嫌いで、

人間そっくりな見た目をしているという理由で私すら嫌われている。

あの奥さんをどう説得したら人間の村に引っ越せるのか、未だに謎だ。

おにぎりは財布を引っ張り出して、

およそ20枚の小さな写真を広げ、その一つひとつを私に見せた。

『鋼の錬金術師』のヒューズみたいだったよ。

←ヒューズさんは妻と娘ラブな良きパパでしたね・・・

当時の時点で、彼には14人の子供がいた。

その孫の世代ともなると血縁の数は神のみぞ知るだな。

大半は人間に見えたし、

そうでない者も少なくとも部分的には人間に見えた。

“ああ、ここやあそこに小さな角があるな” とか、

“おにぎりの奥さん譲りの青味がかった肌をしているな” とか。

でも、ほとんどの子供たちは普通の人間のように見えたよ。

「僕たち家族は、誰一人として人を食べたことなどない」

おにぎりは言った。

「僕たちの一族の誰も、妖怪たちの誰にも、

人間を傷つける権利などない。

罪を犯せば、鈴木さんと同じ末路を辿ることになる」

自分が放った暴言にこんな素敵な答えで返されるなんて

思いもよらなかったんだ。

だから、おにぎりに言ったよ。

「私は今まで価値のあることを何もしてこなかった。

それで(図星を指されて)、君に愚弄されていると思い込んでしまった。

許す許さないは君に任せる」。

彼はただ、微笑んだ。

ホテルのレストランの上役が私たちの側に佇んでいたから

懐から小切手を出して、壊した備品の修理代として幾らか書き込んでいたな。

うっかり備品が壊れて弁償なんてことは、まあ、起こり得ることだ。

「貴方が己の才能を適切に活かすと仮定して、我が主よーー」

彼は言った。

「実際に一族を率いなかったとして、何か問題がありますか?

(=別に新しく一族を持たなくたっていいじゃないか)

貴方はまだ人々に良き影響を与えられるし、素晴らしいことができる。

僕はわかっているんだ。

貴方が人間を好いていることも。

けれど、彼らとは相性が良くないことも。

それについて貴方になんとアドバイスすべきかはわかりませんが、

本当の自分になる術を見つけるべきだと思いますよ。

自身の心の良い部分を見るのです。

くだらないことばかり考えるのはおよしなさい」。

“こんなことを言うなんて、私の知っているおにぎりではない” と思ったよ。

いくら言葉を重ねても言い表せないくらい強く、そう思った。

戦国時代の彼の心には絶対的な恐怖が巣食っていたのに、

今ではたくさんの家族に囲まれ、

人間を守るためにルールを設け、それを実行し、

まるで全てお見通しであるかのように私を導いてくれている。

レストランのマネージャーに小切手を渡し終わった彼は

唐突に私を見て言った。

「僕と一緒に帰ろう」と。

当然、私はこう返した。

「は?」

「セクシーな女性たちや酒のことは忘れて、僕と一緒に日本に帰ろう。

やるべきことが沢山あるんだ。それに、僕の家族にも会ってほしい」

「ふっ、お前は私を罠にでも嵌めようとしてるのか?」

私はおにぎりに尋ねたよ。

「私がお前の家の敷居を跨いだ瞬間、

お前の奥さんが私の頭蓋骨を虫でも潰すが如く粉砕するんだろう?

遠慮しておくよ」

「いやいや、妻も子供たちの前ではしないよ」

おにぎりのこの抗議に、

私たちは二人してちょっとだけ笑ったんだ。

まあ実際問題、

彼の妻は恐ろしくおっかないから、

そのときはただ、「考えておく」とだけ約束したよ。

 

※〜44:50

 

 

 

管理人
次で最後です^^
長く和訳にお付き合いくださり、ありがとうございました!

 

 

なんだかすごく、”青春” って感じのするやりとりで心がじんわりしますね。

 

 

 


【10】

 

 

▼動画をクリックいただくと該当シーンからスタートします

 

※44:50〜

簡潔にまとめると、

私はハイチには行かなかったよ。

下着モデル、ヨットを持った女の子、

その他、私と共にパーティーで騒ぎたいと言っていた人々とは別れ、

久しぶりに日本に帰ることにした。

そして、非の打ちどころがないほど素敵な場所を訪ねたんだ。

おにぎりの家は村落の他の家と比べて立派というわけではなかったが、

山の中のとても素敵な家だった。

人里離れていたから、

そこまで人目を気にする必要もない。

そして、たくさんの・・・

十分な・・・

あらゆる背丈、あらゆる姿形の子供たちが暴れ回れる

十分な広さもあったな。

おにぎりの細君に殺されなかったという事実は認めねばなるまいが、

やはり、私はかなり嫌われていた。

ずっと不平不満をぶつけられたんだ。

「貴方が居ない間、うちの夫は

“ヴォックス殿は元気でいるだろうか” と泣き言を言い続けて困った」と。

彼女は私を心配していなかったんだろう。

ついでだから言うと、

今話したようなことが私が君たちに

「おにぎりに過剰に踏み入ったことを聞くのは止めてね」と

お願いしている理由だ。

彼の鬼恐ろしい奥さんと彼ら一家のプライバシーを尊重して、

おにぎりが家族と過ごす時間を大切にしてやってほしい。

おにぎり自身は、

「キンドレッドたちと同門で嬉しいと伝えて」と私に頼んでいたが、

私のチャット欄をモデレートする以外で

彼が自分で配信を行ったり、自分の声を配信に載せたりすることはない。

だからどうか、彼に要望を送らないでやってくれ。

おにぎりは既にたくさんの仕事を抱えている忙しい小鬼だからね。

SNSには触れないことも、明らかにしているよ。

あいつは賢い奴だから、

世界中どこからでも閲覧できる媒体上で、恥ずかしいことを言いたくないんだ。

彼のファンアートを描いたり、

「#Akurylic」を付けてTwitterに投稿するのは歓迎する。

おにぎりをとんでもなく喜ばせてしまうとは思うが。

まあ、とにかく。

そのときの私はすぐに日本を離れた。おにぎりに迷惑をかけたくなかったからね。

だが、このときの記憶は私の一番大切な思い出の一つなんだ。

これまで、

真の平和を感じた時間は多くはなかったと言うか・・・

私の行いが自分の民を幸せにできたとわかるような

はっきりと思い出せる瞬間がそんなにないんだ。

ただ、

おにぎりとのこの思い出は特別だ。

〜酒飲みタイム〜

う〜ん・・・。

これが80年代の出来事で私が覚えている唯一の話だよ。

面白かっただろう?

 

 

※〜46:35

 

 

 

ーお終いー

 

 

 

 


まとめ

 

 

いかがでしたでしょうか。

この配信ではあともう一つだけ、別の物語も語られておりましたので

そちらも近く訳した後、

「徳川との戦い後のVoxさんの足取り」を簡単な年表にしてまとめてみたいと思います。

 

 

携帯でも読みやすいように短い文で改行しているのですが、

デバイスによってはおかしな空白があいて見えるかもしれません^^;🙏

どうしても気になるよという方は、パソコンでご覧いただくと解決する可能性があります🙇

 

 

▼更新しました

【Voxロア和訳】1999年、イギリス編・大晦日の晩に【Vox lore, The infamous story of 99】

 

 

 

▼ただの更新報告ツールと化していますが

 

 

 

▼PC作業におすすめのゲーミングチェア

 

 

 

 

ぽっかにマシュマロを投げる
匿名のメッセージを受け付けております。
ご質問、ご意見&ご要望、どうぞお気軽に!