【和訳】Fulgur Ovid 【3.0お披露目ビジュアルノベル / 後編20分】

本日は、にじさんじEN

Fulgur Ovid/ファルガー・オーヴィドさんのこちらの配信

 

 

 

管理人
本記事は下の記事の続きです ^^ 🍵🍡

 

 

【和訳】Fulgur Ovid 【3.0お披露目ビジュアルノベル / 前編20分】

 

※動画が再生されて発生した広告収益は全て、動画権利所有者とYouTubeの二者間で分配されます

※誤訳も多いかと思われます。申し訳ありません。もし、目に余る誤訳がありましたら、大変お手数をおかけいたしますが記事下部のマシュマロよりご連絡いただけますと幸甚です


前編から改善しました!

 

 

前編の記事が「どこを読んでいるかわからないよ」

という感じになってしまったので

対策として今回はビジュアルノベルの画面の切り替わり時に

**』マークを入れることにしました。

ふーちゃんの音読に合わせて和訳が追いやすくなっていると幸いです。

 


 その3、LegatusとArchivist編 🐏🍳 40:04〜47:29 

 

 

▼動画をクリックいただくと該当シーンから再生される仕様です

 

※40:04〜 PCで二窓する方はこちらからどうぞ

 

〜開始のカウントダウン。3、2、1、Go〜

 

Legatus:

だから彼女の身体能力値を鍛えて

騎士にすれば良いと言っただろうが!

**

知力と魅力のアップに時間をかけすぎたせいで、

今や彼女が4つのダンジョン全てを

クリアするのは不可能になったぞ!

**

次のOvidiaオビディア(※後述)の育成は俺に任せろ

それでお前の方は・・・知らんが、Ovidiaが夜寝るときに

童話でも読んでやるんだな!

**

 

 

それは平凡な一日の平凡な風景でした。

もっとも、寝室の内装に関しては

それほど平凡とは言いがたいのですが。

**

最近、プレイしたゲーム『火山の娘(※後述)』の配信直後、

(はいこちらアーカイブの宣伝です!

かわいさに悶えたい人はぜひ、チェック)

LegatusがArchivistの部屋に現れ、

「次は俺に育てさせろ」と要求してきたのでした。

**

戦いに疲れたサイボーグが配信に関して口を出すのは

珍しいことでした。

**

彼特有の能力が配信で必要になるときでさえ、

賄賂を送るか懇願するか等々しなければ

動いてくれなかったというのに。

**

 

Archivist:

なぜお前のような奴に私の娘の

育成を任せなければならない?

**

悪気はないぞ。

だが、お前の幼少期を書いたのは私だからな。

要するに、お前には女性の身内なんていなかっただろう。

精神的にも肉体的にも未熟な馬鹿者(Legatusのこと)に

子育てなど、

私がお前に許すと本気で思ってるのか?

**

 

 

沈黙が部屋を満たしましたが、

それはArchivistが普段好んでいる類の沈黙ではありませんでした。

**

Legatusは今にも怒り出しそうな気配でした。

激しい憤りに両目を細め、

片方のまぶたをピクピクと震わせています。

**

 

 

Legatus:

強者は肉を得られるが、弱者は肉となる他ない。

お前がOvidiaを子羊か何かのように育てれば、

彼女は牙の使い方も知らないまま成長することになる。

**

他の者たちと違い、

俺たちは暴力の無い世界には住んでいない。

お前は逃げ隠れする生き方に慣れているのかもしれないが、

俺は自分の縁者がそのように育てられるのは我慢ならない。

**

 

 

LegatusはArchivistを挑発して自身の主張を終えました。

 

 

Legatus:

ケツの青い俺でも

いつだってお前のケツを蹴ることはできるんだぞ?

俺よりデカくて肉付きの良いケツを持ってたって

それで有利にはならないからな。

**

教えてやるが、お前。

“たこ焼き”の食い過ぎで

尻がちょっとデカくなってるぞ

**

 

 

Archivist:

お前だって”たこ焼き”を食べてるじゃないか

**

 

 

Legatusは自由に言い返すルームメイトを睨みつけました。

その瞼(まぶた)はさらに激しく痙攣しています。

**

 

 

Archivist:

Ovidiaは十分に強く育っている。

このまま行けば、彼女は様々な方法でどんな問題も解決できる

バランスの取れた人間になるはずだ。

**

人生のあらゆる課題に対し

「身体能力」や「攻撃性」だけに

頼らなければならないような人間に育てたく無い。

そんな生き方、ヘトヘトになるに違いない。

**

 

 

Legatus:

十分に強い人間は何者にも足を引っ張られない。

そして、何者にも勝負を挑まれない。

皆、負け戦を挑むほど愚かではないからな。

**

 

 

Archivist:

おお、お前自身がその方法で上手くやっているものな。

教えてくれないか?

そっちの時間軸には何が残っていたっけな?

←何も残っていないくせにという嫌味

**

 

 

Legatus:

はっはっはっは・・・

お前もとても上手くやっているよな?え?

お前の方の時間軸は相当良いようだ。だろう?

評議会のお陰で誰もが幸せで健康で

誰も病気や怪我をせず、

皆、静かに評議会の決まりに従うこと以外、頭にない。

←事実の反対のことを言い、皮肉ってる

**

お前が隠していること・・・

お前がその無表情の仮面の下で怯えていること・・・

今、俺に言ってみろ。

お前の本当の兄弟がそれを聞いたらどうなるだろうな?

 

 

Archivist:

・・・ああ・・・

お前は本当にクソがつくほど嫌な奴だな。

※C○ntは女◯器を意味する放送禁止用語

**

 

 

一瞬、Archivistの瞳には涙が浮かびましたが、

彼はすぐにそれを拭いました。

Archivistの表情は、

より独善的で挑みかかるようなものに変わってゆきました。

**

 

 

Archivist:

少なくとも私は自分の兄弟と良好な関係を保っていたさ。

お前は最初の兄弟に対し、あんなにも酷い行いをした。

そんなお前にどうして今、

Ovidiaを差し出さねばならない?

**

 

 

次の瞬間、ArchivistはLegatusにより

壁に向け突き飛ばされました。

足が一瞬、地面から浮いてしまうほど強い力でした。

**

ArchivistがLegatusの足を

お返しとばかりに踏みつけ睨み返す間、

本やトロフィー、ぬいぐるみの幾つかが雨のように降り注ぎました。

**

 

 

Legatus:

自分の羊どももまともに世話できない癖に。

お前のコンフィダンツたちが窓の外で泣いてるぞ。

ブラッシングしてくれとな。

**

俺のところのコンフィダンツは

森での生き抜き方を身につけ、銃も扱える。

お前のコンフィダンツがペンすら持てずにいる一方でな

**

 

 

Archivist:

コンフィダンツは我々二人のものだろう。

あの子たちが精神的にも強いのは

我々が “そう育てたから” に他ならない。

**

私たちがあの子たちを常に森に放っておいたんだとしたら、

“コンフィダンツ”は今、ここに存在していないだろう。

ここに在るのは、永遠に殴り合う我々だけだったはずだ

**

 

 

Archivistは壁に向かって真っ直ぐに立つLegatusの手首を掴みました。

**

Legatusはというと、

Archivistと目線を合わせるために彼を見上げなければなりませんでしたが、

それでもぐっと拳を握り、Archivistを壁に押し返しました。

←はたから見ると手を繋いで壁ドンしているように見える^^;

**

 

 

Archivist:

加えて言わせてもらうが、

お前がコンフィダンツに優しくできる一面を持っていることは

私だって知っている。

お前は上手くいかない配信が一つあっただけで

反省を原動力に前向きに取り組もうという姿勢を見せなかった。

**

そんな状態ではもう、お前が自分自身で説いていることさえ

実践することは不可能だろう。

お前には戦場を離れてもらう。

「自分には感情があり、気に掛かる物事がある」ということを

認めてみたらどうだ?

**

いいか、”何かを大切に思うこと” でお前は弱くなりはしない。

失うのを恐れて自分の感情に向き合わない。

これこそが正に、途方もない弱さだ。

**

 

 

Archivistの手がLegatusの腕から滑り落ち

目の前の男の襟を掴みました。

自分より小柄なLegatusを引き離すため

全力で押し返します。

**

同じサイボーグの身体を持ってはいるものの、

身長と体重には差がありました。

ArchivistはゆっくりとLegatusに力で押し勝っていきます。

**

Legatusをそのまま横へと押し退け、

その流れで今度はArchivistがLegatusを壁へと押し付けようとしました。

が、そうなる代わりに二人はベッドへともつれて倒れ、

Legatusは寝台に頭をぶつけてしまったのです。

**

二人は互いに揉み合いになり、

それぞれ優勢になる瞬間がありましたが、

最終的にArchivistがLegatusを寝台に縫い止めました。

**

 

 

Ovidia:

ああ!そういうことだったのね!

**

 

 

開かれた寝室のドアの前には

よちよち歩きのOvidiaちゃんと

一匹のコンフィダンツが立っていました。

一方は無邪気に目を見開いて、

一方は大して無邪気でもない顔に驚きを浮かべて。

**

 

 

Ovidia:

犬しゃんと羊しゃんと

もりにあそびにいってくゆね!

レスリングあそび、たのしんでね。パパたち!

**

 

 

Archivist&Legatus:

パパたち?・・・

 

 

あなた=コンフィダンツ

そうだね。

パパたちが “レスリング” を楽しめるようにしてあげなくちゃだね。

**

 

 

コンフィダンツは素早くカメラを取り出すと

Ovidiaを連れて静かに森へと去る前に

さっと一枚、写真を撮ってゆきました。

**

 

 

Archivist:

(コンフィダンツを)殴るためのバッドが要るか?

**

 

 

Legatus:

要らん。ヴァロラントの銃があるからな。

それはそうと、あの二人

俺たちを「ダディー」と呼んではならない決まり(※後述)をちゃんと守っていた。

**

 

 

Archivist:

気になるのはそこか?

**

 

 

Legatus:

おい、お前のケツを蹴るために喧嘩続行といくぞ。

お前、まだ俺を殴ることさえできていないじゃないか

**

 

 

Archivist:

レスリングの試合では依然、

俺がお前のケツを床に縫い止めているがな。

もっとたこ焼きを食べないといけないみたいだ。

**

 

 

Legatus:

たこ焼きではなく、(羊肉の)シェパーズ・パイだろ?

**

 

 

Archivist:

・・・だな。

 

 

〜電子音〜

 

 

ーコンフィダンツ食肉にされるENDー

 

 

 

【用語解説】

Ovidia:オビディア

Fulgur Ovid女体化時の名前(ご本人公認)。
加えて、ゲーム等で命名可能な娘、姉妹、妻が出てきたときには大体この名前になる。
特定のデザインやイメージは現時点では無いらしい。

 

火山の娘(英名:Volcano Princess)

2023年6月頃からライバーのふーちゃんが配信でプレイし始めたゲームの名前。

▼内容はこんな感じ

本作は、愛する亡き妻との間に生まれた子供を育成していくゲームです。舞台となる「火山国」は錬金術が盛んで、騎士精神、剣と魔法を尊び、火山の女神を信仰する国。プレイヤーは父親として娘を導きながら、幼少時から成人までの成長を見守っていきます。

引用元サイト様:Game*Spark

 

 

管理人
この配信の際、ふーちゃんが設定した ”娘” の名前もOvidia/オビディアでした

 

 

ライバーのふーちゃんの創作物『Legatus505』に登場するキャラクター2名(LegatusとArchivist)が、

ライバーのふーちゃんのプレイしたゲームの中のキャラであるOvidiaを育てる

という構造のビジュアルノベルでした。

 

 

Daddyと呼ぶのはNG

▼ふーちゃんのチャットルールその12より引用

Ⅻ. Do not call me husband, wife, daddy, master, etc in chat as it will make me and others cringe. Feel free to go nuts outside the stream.

チャット欄で(私を)夫、妻、daddy、ご主人様などと呼ぶのはやめてください。
私や他の人が居た堪れない気持ちになってしまうので。配信の外ではご自由に。

 


その4、Archivist編 54:32〜1:04:57 

 

 

▼動画をクリックいただくと該当シーンからスタートします

 

※54:32〜PCで二窓したい方はこちらから

 

〜立ち絵の設定を整えるふーちゃん〜

〜BGMスタート〜

 

医師:

残念ながら、我々が望みうる最善の方法はそれ以外ありません

**

 

Fulgur Ovid(=Archivist)は黙って地面を見つめました。

**

ぽた・・・ぽたっ・・・ぽた。

**

ピッ、ピッ、ピッ

**

病院には本当の静寂というものはありません。

**

医師はFulgurが無言の間、

静かにそっとしておこうと最善を尽くしてくれましたが、

(病院という)この人口の壁に囲まれた空間では

それも無駄なように思えました。

**

Fulgurの心臓は丈夫でした。

モニターからゆっくりとしたビープ音が鳴り響くたびに

心電図は誇らしげに運命に逆らいます。

**

顔の前まで片腕を持ち上げる。

Fulgurはその行動に全ての神経を注いでみました。

**

拳を丸めると、

僅かに震え上下に揺れ動いているのがわかりました。

彼はその腕をパタリと脇に下ろすと、

感情の浮かばない静かな目で医師と視線を合わせました。

**

 

 

Archivist:

お話は以上ですか?

**

 

 

感情を隠すことはArchivistの習慣となっていました。

**

彼の人生において、

「真実」が人々を自由にすることはありませんでした。

それどころかむしろ、「真実」はArchivistのような人々を閉じ込め

評議会による最高の矯正とやらを受ける対象にするのです。

**

長年の闘病生活の中でついにここまで来てしまったという事実は

Fulgurの心に衝撃を与えていました。

**

症状が発見され、左目に刻印を受けてから25年。

**

25年に渡った治療に継ぐ治療は失敗に終わり、

心臓は麻痺し、身体は内側から衰弱する結果となりました。

**

ついに病院の小さな一室を終の住処とするときがきたのです。

**

医師が金属と針金で治療できることには限りがあります。

**
胸部、馬尾(骨盤と背骨を繋ぐあたり)、迷走神経など、

全てが治療不可能なほどに壊れはてていました。

**

最後の数ヶ月は動くことも叶わず

ベッドに押し込まれて過ごすことになります。

**

身辺整理に使える時間は残すところあと三日のみ。

**

公共の場で倒れるわけにもいきませんでした。

幸せに暮らす市民たちが

Archivistを待つ不幸に巻き込まれたとして

一体、どう思うでしょうか。

**

 

 

医師:

そうですね・・・あとは支払いの問題があります。

貴方の健康保険は、

貴方が人生の最期を迎えるそのときまで保証してくれますが、

その後のことについて

どなたか話し合う相手はいらっしゃいますか?

←遺体の引き取りや葬儀のことなどでしょうね・・・

**

 

 

Archivistの瞳の下には小さな皺が浮かびました。

医師へと返答する際、ほんの一瞬だけ

穏やかな表情が消えました。

 

 

Archivist:

誰も。貴方の好きなようにしてくれ。

口をきけるようになってからずっと

ドナー登録しているのだから

**

 

 

医師:

貴方には、本当に心から申し訳ないと思っています。

しばらくお一人になれるようにいたしますから、

準備が出来次第、”チェックアウト”をお願いいたします

**

 

 

医師が席を外したことにFulgurは気づきませんでした。

Fulgurの手には医師に与えられた円筒型の装置が握られています。

**

装置の先端は缶切りのように曲がっていて、

もしここがSFの世界なら、

この円筒から何でも斬れる光の刃が出てくるんだろうなと

Fulgurは思いました。

←ライトセーバーの持ち手みたいな形ということですね

**

 

 

Archivist:

私は”チェックアウト”できる。準備が整い次第、いつでも・・・

**

 

 

赤色と黒色の金属からできたそれはFulgurの手足と喉にあるものと

よく馴染むように思えました。

**

Fulgurは円筒型の装置をジャケットの内側へ仕舞い込むと、

先端をポケットから出し、心臓の上にくるように調整しました。

**

 

 

Archivist:

残り72時間か・・・。

我ながら本当に悲惨な運命だな

**

 

 

Fulgurは冗談めかして言い、少し笑いました。

絞首台に昇る死刑囚の気分で

絶体絶命の状況を前に口にするジョークは、

いつも彼の心を軽くしてくれました。

例え、首にかかった縄の結び目が

自分の首をぎりぎりと締め上げているような、

こんな状況においてもです。

**

翌朝のこと。

**

Fulgur Ovidは最後の日を過ごすべく、

図書館に向かいました。

**

〜画面調整。モノクロになります〜

足早に「子供たちのための読書コーナー」の陰に身を隠すと、

かつてカラフルだった棚が評議会の定めた規則の下、

灰色と白色の書物ばかりに変わっていることに気がつきました。

**

最後の作業はあっけなく終わりました。

やるべきことはもっとたくさんあるに違いないと思っていたのに、

Fulgurの生涯は3つの段ボールに収まり、

それらは後で寄付センターに送ることになりました。

**

オンラインに関することは、

「自分のアーカイブを暗号化すること」と

「次のArchivistたちがそれを解読し、最終的に自分自身のコレクションに追加できるよう

案内を作成すること」のみで整理できました。

**

本、ゲーム、美術品、映画、音楽。

それらが誰に引き継がれることになるのかArchivistは知りませんでしたが、

評議会の人間となる可能性だけは絶対にないということはわかっていました。

**

Archivistの遺産は、現実世界で自らの人生を歩むことができず

ヴァーチャルの世界に逃避する必要があった社会不適合者に

受け継がれることになるのでしょう。

**

敢えてアーカイブのどこかに名前を残すということはしませんでしたが、

後世のために保存した傑作の中に

生意気にも自分の作品を紛れ込ませてアップロードしておきました。

**

出来は悪く、ストーリーも穴だらけ。

おまけに、登場するキャラクターは

その創作にインスピレーションを与えてくれた絵と同じく2Dです。

こんな物語は誰も楽しんでは読まないだろうと、

Archivist本人も作品の出来を疑っていました。

**

けれど、ただ

その物語が(オンライン上に)”ある” というだけで十分でした。

自分の死には葬式も墓石もない。

本当の意味で自分を理解してくれる人間も

この生涯で一人もいないように思えました。

**

自ら作ったこの物語。

きっとこれらはこれからずっとオンラインデータ上に存在し、

偶然にもそれに触れることとなった誰かに

「こんな風に生きられたらよかった」というFulgurの願いのほんの一部を

伝えることになるのでしょう。

**

 

 

子供:

ふーちゃん!ふーちゃん!

**

 

 

ふっくらとした顔に満面の笑みを輝かせ

小さな子供が本棚の後ろから飛び出してきました。

**

 

 

子供の母親:

こら、「オーヴィドさん」でしょう?

**

 

 

優しく少女の頭を撫でながら

母親が我が子をたしなめます。

**

 

 

子供:

ふーちゃん見て。これからは私、

ふーちゃんみたいになれるんだよ!

**

 

 

目の前の小さな彼女が、

洋服から縁の広い眼鏡に至るまで、

確かに自分と似たような装いをしているのを目にし

Archivistの口からは小さな微笑みが漏れました。

**

 

 

Archivist:

ああ、小さなお嬢さん。

これはもう、私より私っぽいと言わざるを得ないな

**

 

 

少女が髪を後ろに払うと、

Archivistの顔から笑顔が消えました。

彼女の左目の上には新たに刻まれたばかりの

赤い刺青があったからです。

まだ炎症をおこしていて、

刺青の縁の皮膚はその赤い染料と同じ色に膨らんでいました。

**

Fulgurは少女の母に向き直りました。

母親はただ静かに頷いてみせました。

彼女の笑顔は娘が仮装のために身につけた眼鏡と同じくらい、

飾り物のように見えました。

**

 

 

母親:

この子に話したんです・・・

その刺青は、あなたがオーヴィドさんと同じように

強くて優しい人になれるって意味なんだよって。

この子、もうそれですごく興奮してしまって

最初の手術の間、泣きもしなかったんですよ。

ね?ハニー

**

 

 

子供:うん!

**

 

 

Archivist:

それはーーー

**

 

 

言葉は喉に引っかかり声になりませんでした。

込み上げた涙が喉を塞いでいたから。

Archivistは素早く眼鏡を拭うと笑顔を浮かべ、

表情をいつも通りに整えました。

**

 

 

Archivist:

それはすごいぞ、お嬢さん。

君ならあっという間に私より強くなるに違いない

**

 

 

子供:

とうぜんだよ。

わたしもう、スーパーヒーローなんだよ!

びゅーん

**

 

 

頭の中での戦闘音を響かせながら

少女は図書館の中央広場へと駆けてゆきました。

**

Archivistは少女の母に顔を戻しました。

赤く泣き腫らした目をしながらも

母親はただ黙って瞬きもせず、娘に向かって微笑んでいました。

**

 

 

Archivist:

申し訳なーーー

**

 

 

その肩を叩こうとFulgurは母親の背後から手を伸ばしましたが、

伸ばした手は振り払われました。

**

 

 

母親:うっ(痛い)ーーー

**

 

 

母親はArchivistの手を払った手を、もう片方の手でさすりました。

金属を打ち払った手は、

Fulgurよりも彼女のほうに大きな負担を与えていました。

**

 

 

母親:

ごめんなさい。私、ただーーー

**

 

 

Archivist:

至極当然の反応です。

お気になさらないでください

**

実は今日が最後の日なんです。

もうすぐこの世の中から切り離されますから

**

 

 

母親:

よかった。

普通の人々に、貴方のような人がこの世に常に存在することを

改めて意識させるべきではありませんものね

**

 

 

それはさり気なく出た言葉でした。

母親が背を向けて図書館を後にしたあとも、

Archivistの顔には優しい微笑みが浮かんでいました。

**

それからしばらくの間、Fulgurは黙って座っていました。

ジャケットのポケットに入れたネットジャック(円筒形の装置)が

胸に重くのしかかってくるように感じられました。

**

 

 

子供:

ふーちゃん・・・

さっき、「もうすぐここからいなくなる」って言った?

**

 

 

先ほどの子供でした。

本棚の後ろから、おどおどとした様子で

ぴょこりと顔を出しています。

**

 

 

Archivistの顔に、再び優しい笑顔が灯りました。

**

 

 

Archivist:

ああ。今日が私の最後の日なんだ。

でも、心配いらない。

次の図書館司書もきっと私と同じくらい

愉快で楽しい人のはずさ

**

 

 

子供:

新しい図書館司書さん?

**

 

 

少女はそのことについて少しの間、考えているようでした。

天井を見つめる視線を揺らし、

これから起こるだろう楽しいことに胸を膨らませています。

 

 

子供:

どんなゲームを教えてくれるかな?

たのしみだなぁ!

**

 

 

喜びに文字通り体を跳ねさせごっこ遊びに戻ると、

少女は再び姿を消しました。

**

 

 

ふーちゃんは灰色の子供読書コーナーに座っていました。

一人きり、

子供に向けるあの優しい微笑みを唇に貼り付けて。

**

そうして、とうとう。

長年堪えた涙が頬を滑り、胸へと伝い落ちました。

**

明日は、明日こそは。明日こそはまた。

Fulgurはいつも、

明日こそは自分の生きた証を残すのだと

自分自身に言い聞かせてきました。

そして今日。

Fulgurはただ生き残るために最善を尽くしました。

**

「自分の”明日” がもう来ない今、

誰にも少しも思い出されなくなるまでに

あと何回の”明日” がくるのだろう」。

Fulgur Ovidは考えるのでした。

 

 

 

ーお終いー

 


まとめ

 

 

今回の記事で、ふーちゃん3.0ビジュアルノベル4本ぶんの和訳は終わりです。

本日もお付き合いくださり、ありがとうございました🙇🧡

 

 

管理人
4が悲しくてやるせなくて、この話をし始めると暗くなりそうなので辞めておきますね^^;

 

 

でも、どうして誰もふーちゃんに「行かないで」と言ってくれないんだろう。

 

 

 

 

睨んだ顔や赤面、泣き顔など、

ご自身で創作活動をされるふーちゃんならではの活かされ方で

物語と表情とをダブルで楽しめる、すごく素敵な配信でした。

 

あと、そうだ。コラボカフェの件もそうですが、

何かと食用にされがちなコンフィダンツでしたね(笑)

いつかふーちゃんにジンギスカンを食べてみてもらいたいな、

なんて思いました。←自ら食べられにいくスタイル

 

ビジュアルノベル2と4に関してですが、

2に登場した学校の先生がキスをしたArchivistは、

やはり4に登場するFulgurだったんでしょうか。

時系列的に4→2という流れだったら

ふーちゃんにも救いがあるような気がするけれど。

ただ、4のふーちゃんがキスされたあとにダッシュできるほど元気なのかという疑問は残ります。

 

 

 

もしよかったらまた、皆様の感想なども聞かせてください。

 

 

 

 

 


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