当ブログは
・にじさんじEN所属Vtuberさんの活動全般について
・配信の日本語訳
等をメインに文字起こしているファンメイドブログです。
本日はLuxiem・Vox Akumaさんのこちらの配信
Reading your incredible fanfiction【#Kinfiction】【NIJISANJI EN | Vox Akuma】
に登場するファンフィクション小説全20本の中から、最初の5本を抜き出し、
それぞれ日本語訳してみました。
「特にカップリングになっている作品が読みたい!」と思っている方も多いかと存じますので、目次がてら下にまとめました
▼本記事【前編1】の目次
1番目の作品・・・Voxのみ(短編)
2番目の作品・・・Vox × シュレック(短編) ←クレイジーすぎて素敵でした
3番目の作品・・・Vox × ゲーム『ファイブ・ナイト・アット・フレディーズ』の敵、フレディ(中編)
4番目の作品・・・Voxのみ(詩)
5番目の作品・・・Vox, Mysta, Fulgur & Alban (長編)←ガチ小説。Milordの演じ分けが凄いです。アルバーンが特にそっくりでした
▼これから先の記事でまとめる予定のカップリング作品のみ、ざっくりとご紹介
7番目の作品・・・Fox Akuma
8番目の作品・・・Ike × Vox
11番目の作品・・・Fox Akuma
13番目の作品・・・Vox × Vox
14番目の作品・・・Ike × Vox
16番目の作品・・・Vox × Shoto
17番目の作品・・・Vox × Fulgur
1『Vox Akuma Has A Good Day』 ianbatplushie様作
▼動画をクリックいただくと、該当シーンにピンポイントで飛びます。
朗読が終了しましたら、お手数ですが【手動で動画を停止】してください
タイトル:Vox Akuma、良き一日を過ごす
ある朝、目覚めたVoxは、いくつかビデオゲームしようと決めた。
そして、マクドナルドへ赴く。
携帯の電源を切る。
Twitterを見るのを止め、ライブ配信で自分が登場するファンフィクションを朗読するなんてことは、間違いなくしない。
彼は絶対にそんなことしない。
Voxは外へ行き息抜きをする。
多分、猫とか可愛がるんだろう。
彼の視界には、いやらしいビッチ共は居ない。
終わり。
2『Vox x Shrek』 nof*cknoduck様作
▼動画をクリックいただくと、該当シーンにピンポイントで飛びます。
朗読が終了しましたら、お手数ですが【手動で動画を停止】してください
タイトル:Vox × シュレック
シュレックは自らの手で縛り上げたVoxを前に、彼に微笑みかけた。
Voxをベッドの四隅に立つ立派な支柱の一つに押し付けて、
彼を戒める紐を引き乱暴にベッドを揺らしている。
Voxは押さえつけてくるシュレックの手に抗った。
幾筋もの汗の粒がVoxの喉を伝い落ちる。
その様はただ、シュレックの劣情をさらに煽ることとなった。
Voxの喉はとてもか弱げに見え、今すぐにでも(声が枯れ)消耗してしまいそうだった。
〜つづきが気になるところですがこの作品は元々、ここで切れております 〜
別の方がリプライで続きを書いていらっしゃいましたので、気になる方はぜひ、Twitterで検索してみてくださいませ!
3『Vox x Glamrock Freddy』 lyflysmaybe様作
グラムロック・フレディは、ゲーム『ファイブ・ナイト・アット・フレディーズ』のメインキャラです。
▼動画をクリックいただくと、該当シーンにピンポイントで飛びます。
朗読が終了しましたら、お手数ですが【手動で動画を停止】してください
タイトル:Vox × グラムロック・フレディ
「だが、フレディ」。Voxは喘いだ。
絶望の涙がVoxのきらめく瞳から流れ落ちる。
「我々が永遠に共に居つづける道はないのか?」
Voxの問いかけに対しグラムロック・フレディは、漆黒の髪をした恋人を絶望をもって見つめた。
「そうは言うが、スーパースター。俺が君の重りになってしまっては、
君はどうやって空の上で輝けると言うんだ? 君にふさわしいのは同じ場所で輝ける君のためのパートナーだ。
身も心も、そしてーーー」
人の心を持つかのように精巧なロボットは物悲しげに、その電気で光る青い眼差しを落とした。
バッテリーが不足しているせいで、今はその瞳の光も弱まってきていた。
「フレディー、わからないのか?!俺はありのままの君を愛してるんだ!
例え君が、滑らかなロボットの殻に包まれた魂の残滓(ざんし)だったとしても、
俺は君が親切で愛らしい心の持ち主であることを知っているんだ。
君の胸の空洞の中に身を隠していたとき、俺にはそのことがわかったんだ!」
Voxは魂の底から叫んだ。懸命にエンジンケーブルを調整する。
フレディを再充電するため、いずれかを接続する必要があったのだ。
「俺たちは愛の力で、『ピザプレックス』から共に逃げおおせたじゃないか。
どうして今、”二人”の未来を諦められるんだ?」
「ああ、俺のスーパースター」。フレディは苦しげに苦しみを吐露した。
「Vox、わからないのかい?俺たちはこの関係をなんとしても続けようと必死に頑張ってきた。
でも、俺の心の声が言うんだよ。”Voxはもっと高みを目指すべきだ。もっと自由になるべきだ。
俺なんかに縛られることなく” ってな」
Voxはグラムロック・フレディのまばゆく輝く美しい顔をしっかりと手で包み、
大きく魅力的なクマの頭部を後ろ向きにする前に、優しくケーブルを差し込んだ。
Voxの視線と、充電済みの視線が絡み合い、バッテリーケーブルでも及ばぬほどの熱い愛の電気がほとばしる。
「わかるか、フレディ? 俺たちの愛はまるでウィリアム・アフトンみたいだな」。Voxはしみじみと呟いた。
※ウィリアム・アフトン=ゲーム『FNAF』で起こるホラー現象の元凶。黒幕的な存在
「おびただしい数の無関係な被害者の死を招いたから?」
「違う!馬鹿なクマだお前は。『いつも戻ってくる。決して、終わらない』。
俺が言いたいのはそう言う意味だよ」
この紛(まご)うことなきロマンティックな想いによって、Voxの心には熱情が沸き起こった。
グラムロック・フレディの口は、激しいキスをするVoxの唇によって押しつぶされた。
キスの摩擦によって溜まった静電気が、激しくキスし抱擁を交わすべく二人を燃え上がらせたーーー
4『To Milord』 WindyknowsXia様作
▼動画をクリックいただくと、該当シーンにピンポイントで飛びます。
朗読が終了しましたら、お手数ですが【手動で動画を停止】してください
タイトル:Milordに捧ぐ
[詩1]
地球を潤す慈雨のように
霧を晴らす風のように
温もりをもたらす太陽のように
私を笑顔にする悪魔のように
[詩2]
私は闇から逃れ、あなたは私にこの希望をもたらす
あなたは私に加護を与え、私は忠誠を以ってそれに報いる
我が人生に現れたあなたに感謝を。一生をあなたと共に
5『Stuck in the Dark』Aidennnks様作
▼動画をクリックいただくと、該当シーンにピンポイントで飛びます。
朗読が終了しましたら、お手数ですが【手動で動画を停止】してください
タイトル:夜闇の中で立ち往生
「Vox、俺マジで今にも死にそうなんだけど。他のLuxiemメンバーとにじさんじのライバー全員に『みんな、愛してるよ。思い出をありがとう』って伝えておいて」
バナナの葉っぱで身体を覆いながら、震えるMystaが言った。
この言葉にVoxはただため息をつき、二つの岩を擦り合わせて火を起こそうと奮闘した。
自らの手でMystaを葬るわけにはいかない。
こんな状況では自分が第一容疑者にされてしまうし、牢に入れられ自由を奪われるなどVoxが最も嫌うところである。
「死ぬなMysta、死んだら殺すぞ。誓って言うが、そうなったらお前は二度、死ぬことになるからな」
その後、少ししてVoxはついに火起こしを成功させた。
Mystaが暖をとるのに十分なほどに大きな炎によって、二人は暗闇の中に明かりを得たのだった。
VoxはMystaの呼吸の有無を調べ、しっかりと息があることを確認した。
眠っているMystaをそのまま寝かせてやりながら、VoxはMystaが無事だったことに安堵の笑みを浮かべた。
木に頭を預けて座りながら、Voxが今にも目を閉じようとしたその時だった。
木の枝が踏まれて折れたに違いないパキンという物音が聞こえてきた。
足音。つまり、生物が居る
Voxはすぐさま小枝を掴むと、「この枝であの生き物を仕留めよう」と考えた。
謎の生き物の視界に入らないよう、巨大な木の幹の後ろにすっぽりと隠れる。
もちろん、目下の最優先事項はMystaの安全の確保だが、しかし、どうせ守るならこれ幸いである。
Voxは生き物の正体がなんであれ、Mystaを囮(おとり)として使うことにした。
「ああ、良かった。誰かここで野営してるみたいだよ ー」
「しーっ、静かに。誰か居るみたいだ」
聞こえてきた声はVoxにとって馴染みのあるものだった。
「静かに」と、もう一人に注意していた方の声は特に聞き覚えがある。
Voxは握っていた木の枝を放り投げ、ズボンについた土をはらった。
木の陰から姿を現すことにしたのだが、そのせいで、事態はよりスリリングなものとなった。
「何をしにここへ来た?」
突然の声に、AlbanとFulgurは魂が身体から飛び出すくらいに驚いた。
フリーズすること3秒。
新幹線に勝る早さで飛んでいった二人の魂だったが、本当に驚いたリアクションをしたのはAlbanだけだった。
Fulgurは咳払いをして話し始めた。
「見て分かる通り、この時代の人々は貧しすぎて俺たちは道に迷ってしまったんだ。森に街灯さえ設置できないなんて」
Voxは木の陰から出ると、さっきまで座っていた焚き火の側へと戻ってきた。
焚き火を挟んで向こう側にFulgurとAlbanが立っている。
「街灯は街中の道を照らすから『街灯』と呼ばれている訳で、森の中にあるわけがないだろう。バッテリーが必要か?(電力不足でおつむがイカれたか?)」
Fulgurが何かを言い返す前に、Voxはその間を与えなかった。
「自分の両目から明かりを作り出したらどうだ?まさに懐中電灯の代わりになるじゃないか、だろ?」
「俺はサイボーグであって、スーパーマンじゃないんでね」
「うわあ!あれってMysta先輩?今やっと気づいたんだけど」
AlbanはVoxの側で眠るMystaを指差して言った。
「ああ、そうだ。お前たち二人も休んだ方がいい。もう夜更けだ。元居たキャンプ地へ戻る方法は改めて明日、探そう」
Voxが二人に語りかけ、二人はすぐにそれに従ったのだった。
Fulgurは木に登ると、眠るのに良さそうな枝の一つを見つけて腰を下ろした。
一方、AlbanはMystaを真似て焚き火の側に横たわった。
アウターを脱いでコンビニの制服姿になると、脱いだ服を丸めて枕にし、落ちていたバナナの葉を引っ張ってきてブランケットにして眠った。
ー 翌朝 7時 ー
帰り道を探している間、Mystaは突如として「何か食べ物を〜」と鳴く腹の虫に気づいた。
そんなわけで、四人で食べるのに十分な食料を探す運びになった。
「これは大丈夫ですか、Vox先輩!美味しいかな?」
Albanは丸くてトゲトゲした物体を拾い上げ、自信あり気にVoxに見せた。
「どう思います?食べれるかな?」
「ふむ、大丈夫だ。これは正にパイナップルと呼ばれる果物だな。健康に良く、低カロリーでピタミンとミネラルを豊富に含んでいる。特にビタミンCが多く、ビタミンCは抗ガン、抗心臓病、抗関節炎効果も期待できる」
VoxはAlbanの肩を叩き「よくやった!」と告げた。
Albanは両腕の中に嬉しげにパイナップルを抱えて運びつつ、別の食材探しに勤しみ始めた。
Voxも野菜を探していたが、不意にすぐ脇から幽霊のようにFlugurが姿を現した。
けれどもVoxはクールな悪魔であるのでビビリも驚きもしない。
Voxは『冷静そのもの』だった。
「これはどうだ、Voxxy?」
VoxはFulgurが見せようとしているものを視界に納めようと振り向いた。
Voxの目に飛び込んで来たのは、怪しげな見た目の、紫と黒色をしたキノコだった。
おまけに奇妙なツノまで生えている。
このサイボーグにとっての常識とは、一体?
「これは・・・猛毒の菌類だ、Fulgur。これは食えない」
Voxは残念そうな顔をFulgurにはっきりと見せて言った。
「もう二度とキノコは拾うな」
「本当か?でも、このキノコかっこいいだろう?ツノまであるんだぞ?ほら」
Fulgurはそのツノというか、怪しげな見た目のキノコを指で突っついて言った。
Voxはただ、げっそりした様子でため息をついた。
「おい、Vox。これは?!」
MystaはVoxに駆け寄りながら叫んだ。
拾い上げたものがMystaと一緒に上へ下へ揺れながら近づいてくる。
Fulgurでさえ、Mystaが見せてきたソレが余りにもアレすぎて我が目を疑った。
そして、Mystaが持ってきたソレに対してVoxが何を言ったとしても、自分はきっと激しく同意するなと思った。
「なんてことだ」
「自分の見つけたものはきっと食べ物だ」と思っているMystaがニッコニコでいる間、Voxはこめかみを揉んでいた。
「Mysta・・・、これはただの乾いた動物のうんこの集合体だ。何を考えてる?!しかもなんで素手で持ってるんだ手袋はどうした???」
「うんこ?わかった、ごめん。今この瞬間、俺の脳細胞ってば俺に協力してくれてなかったみたい。めちゃくちゃ腹減ってるんだよ。脳みそに栄養が行ってないんだ」
「俺が電力供給しようか、Mysta先輩?」
Flugurが提案すると、
「失礼な奴だなぁ・・・」
と言ったMystaはVoxの背中に引っ込んでFulgurから身を隠した。
「Vox先輩!僕、黄色いちん◯みたいな食べれそうなもの見つけたよ!」
未だパイナップルを抱えたままのAlbanがVoxに話しかける。
Voxはすぐに、それはバナナだと理解した。
「Alban、君が食材選びに関して特別センスがあるのはわかっているが、そのネーミングはいかがなものか・・・いや、考えまい。それはバナナだ。取っておいてくれ」
「了解!!」
Albanは嬉しげに、弾む足取りでバナナの幹に向かって行った。
「Vox、あそこに見えるソレなんかどう??」
Mystaは道のど真ん中にある『ソレ』を指差して言った。
「Mysta、あれは出来立てほやほやの動物のうんこだ」
Voxはポーカーフェイスのマスクを顔に貼り付けたところだった。
「うんこから食用可能な構成物を抽出する方法はいくつかあるが、それを食べる前に我々は飢えで死ぬだろうな」
Fulgurがまた、怪しげな見た目のキノコに気がついた。
4人からほど近いところに生えていたので、Voxに見せるため、Fulgurはそれをすぐさま引っこ抜いた。
「Voxxy!これを見てくれ、見本みたいな見た目のー」
「同じことを二度も言わせるな。適切な判断ができる方法を学べ」
Voxは細かい毛でびっしりと覆われた虹色の怪しいキノコをFulgurから奪って、遠くへと放り投げた。
「どれくらい怪しげか否かではなく無作為に『かっこいい』キノコを繰り返し選んでしまう時点で、お前のセンスがゼロなことは証明されているな、明らかに」
Voxは大声でキレた。
「どうしてお前は、そう、俺を、わずらわせるんだ?」
バナナ採りから戻ってきたばかりのAlbanが「落ち着いて、Vox先輩。僕らを大目に見てよ。僕ら先輩みたくサバイバル知識が豊富なわけじゃないからさ」と言った。
「うわあ、Fulgur。あっちでキノコのお友達と一緒にすねちゃったよ」
Mystaはそれを見て「はは」と笑ったのだった。
「Fulgurはかなり繊細なんだ。そうは見えないけど、そうなんだよ」
Albanが言葉を重ねると、Mystaも黙り込んでしまった。
「わかった、いいだろう。俺は食事の準備をするから、お前たちはその間、お互いに良いコミュニケーションが取れるようにするんだ。いいな?」
Voxは静かな声で言った。
Fulgurもさっきまで不貞腐れていた場所から立ち上がるとキノコのお友達を後ろに残し立ち上がった。
AlbanはパイナップルとバナナをVoxに託し、こうして三人は、悪くなってしまった空気をベストな状態にすべく話し合うことになった。
ー 20分後 ー
「んんんん、これマジで美味いよVox。脳細胞に栄養が回って脳みそマッチョに育ってきてる気がする。マジで一口も要らないのかよ」
「Voxxy、お前がこんなことできるなんて俺は思ってなかったよ。これはプロの仕事だ」
「Vox先輩、僕これ一日中食べていられるくらいに気に入ったよ!何を入れたらこんな風に美味しくなるの???」
「この食事は君たちが見つけたもので作った」
三人は食事をしている手をピタリと止めた。
「食感と塩気を加えるために、干からびたうんこと湿った動物のフンを使ったんだ。湿ったフンから水気を絞り出してな、それから、干からびたうんこをバラバラに砕いたんだ。あのキノコたちもいい仕事をしたぞ。料理の風味をとても良いものにしてくれた」
「いやでも、お前。あのキノコは猛毒だって言ってなかー」
Flugurは口を挟もうとした。
「食べられるようにする小技を施したんだよ。どんな技かは聞くなよ。あと、バナナとパイナップルがどうなったか気になっていると思うがそれは、ほら。こんな風にデザートにしてみた」
Voxは三人に、美しくカットして盛り付けられたパイナップルとバナナを見せた。
「これらの飯に関しては大いに安心安全であると保証しよう。だからほら、まだ温かいうちに食え」
Mystaは大好きなVoxを信頼していたので、出された料理を引き続き食べ続けた。
Albanも同じようにした。
しかしFulgurはというと、Voxの言葉を疑っていたので、そのスープを食べる手を止めたのだった。
腹を満たすため、バナナとパイナップルだけを食べることにした。
突然、Voxの腹が小さくギルギルと鳴った。
「食べないのか?」
Fulgurは尋ねた。
けれどもVoxは、腹を抑えて死にそうにぐったりしながらも、「No」と手をひらひらさせるばかりだ。
「どうしたんだよ、Vox?うんこしたくなったのか?なんでそんな突然?」
Mystaはちょうど、料理を平らげたところだった。
「それって、このスープのせいなの??」
Albanが尋ねる。
「そ、そのスープの試作料理を20〜30口、すすったんだが・・・」
もはやVoxはまともに立っていられず、地面に膝をつく有様だった。
「これも全部、お前たちのせいだぞ。このお猿さん三人衆め。一生、許さんからな!一生!」
「バカ言え、自分のせいだろ」
Fulgurが言うと、Voxは射殺しそうなほど怖い目(もとい、自分が死にそうになっている必死な目)でFulgurを睨んだ。
「Vox、どうしたらお前を助けられるんだ?」
Mystaが尋ねた。
「だ、大便ができたら、それだけで治るはずだ」
「だな!心配すんな!安心してうんこができるプライベート空間をどっか探そうな!!」
Mystaが叫んだ。
「いいや」
けれど、Voxは否定した。
「なんで?Vox先輩、森の中で野糞したこと無いの???」
Albanが興味津々に尋ねる。
「そうではなくー」
「めちゃくちゃ簡単だよVox、ほらこんな風にさー」
Mystaが自分のズボンを今にも下そうとしたので、Fulgurが止めた。
「そう言う問題じゃ無いと思うぞ、Mysta先輩。あれだ、不便すぎるのが嫌なんだよな?ただじっとして、リラックスしていればいい。俺がお前のために様式トイレっぽいものを作ってやるよ、Voxxy」
「そうじゃない、俺はー」
「おいおいVox、俺たちの間柄でシャイになる必要なんて無いって〜」
Mystaが言う。
Voxは立ち上がり、告げた。
「元居たキャンプ地にあったみたいな自分だけの個室トイレの中じゃ無いと、俺は大便ができないんだよ」
「わお」
Fulgurが唯一、言えたのはそれだけだった。
「キャンプ地に帰るための一歩を、お、俺は最早、踏み出せないんだ・・・俺なら生き残れると思うが」
「おいおい、Voxxy。お前は数百年を生きていた悪魔だろう。たかがうんこに負けるのか?なんと言う屈辱的な有様だ」
Fulgurが言った。
突然、MystaがVoxを姫抱っこで運ぼうとしたのだが、見たところどうも力が足りなかったらしい。
と、言うことでFlugurが代わりに運ぶことになった。
「何をしてるんだ、俺を下ろせ。馬鹿!」
Voxは叫んだ。
「もし、お前が自分の命の為にあのキャンプ地の個室トイレで用を足すことが必要なんだったら、俺たちがお前をそこまで連れて行くだけさ」
Mystaは道案内の準備をしながら答えた。
「わ、我々は森に詳しく無いじゃ無いか」
Voxは言った。
Albanも自分の道具を準備しながら言った。
「Vox先輩、僕たちに言ったでしょう?早くお互いにコミュニケーションを取れるようになれってさ。僕らは言われた通りにしてるだけだし、おまけにそのコミュニケーションのお陰ですごく先輩の役に立ててるよ」
「なんでお前はそう言う言い方をするんだ。まるで俺がお前たちに『俺の役に立てるよう、しっかりしろ』と言ったみたいじゃないか」
「友が苦しんでいるときにただ座って何もしないでいるなんて出来るか」
Fulgurが、まるで得意顔のお父さんみたいな口調で言う。
「時間を無駄にはできないぞ、さあ、行こう!」
Mystaが道を先導し始めた。
「こっちは泥でぬかるんでる。気をつけろ!」
Mystaの後ろにVoxを背負ったFulgurが続き、Albanが殿(しんがり)を務める。
走っての移動スピードはとても速く、同時にものすごく縦揺れするので、Voxは目を回さないようFulgurの肩をぎゅっと力強く握る必要があった。
Voxを背負った一行は、こちらに向かって今にもバナナや石を投げようとしてくる猿で溢れかえった森の端の一帯を抜けて走った。
Albanが極めてすばしっこい身のこなしで右に左に軽やかに動き、バナナや石から一行を守る。
「早くここから逃げよう!まっすぐ行けば辿り着くはずだ!」
手遅れになる前にキャンプに到着すべくMystaはFulgurに告げ、そして、叫んだ。
「へっ、このクソ汚い猿どもめ。お前ら野生じゃ無いだろ。かかってこいよ、脳なし!俺は地球代表名探偵ミスタ・リアスだぞ!」
Mystaは「ウッキー!」と猿っぽい声で、猿の一匹いっぴきに向かって叫び始めた。
残らず全ての猿の耳がおかしくなるまで。
その間、AlbanはMystaまで届きそうなガラクタの全部を端から叩き落としたのだった。
「なあ、Fulgur?」
「うん?」
「もし俺がこの戦いを生き残れなかったとしても、お前には自分が望んだことを叶えられるだけのポテンシャルがあることを忘れないでくれ。もし俺がここで死んだら、そのまま置いていってくれ。そして自分の身を守ってくれ」
「悪いなVoxxy、どれほどそうしたいと俺が思ったところで、Mysta先輩の命令に背くことはできないんでな。もしその願いがMystam先輩の命令と反する内容だとしたら、むしろさっさと死んだほうがマシだよ」
進行方向、少し先にFulgurは崖になっている場所があることに気がついた。
進み続けるためには、崖を登らなくてはならない。
あの崖の向こうにキャンプ地があるのだ。
あともうちょっと、ただ走るだけですぐに目的地に着ける。
「思うにお前は本当にMystaを尊敬してるんだな、え?」
Voxのこの問いかけに、Fulgurは何も返さなかった。
代わりに別のことを言った。
「Voxxy、見えると思うが・・・すぐそこに崖がある。俺が見たとこ俺たちは40メートル弱はジャンプする必要がある。それか、一度あんたを下ろして、俺のバネを使って崖を登る。こっちの作戦で行けば所要時間は約1時間」
「は?」
FulgurはVoxを地面に下ろした。
「考えがあるんだVox先輩。俺は自分のロボアームを50メートルまで伸ばすことができる。でも、2分ぴったり経過すると巻き戻ってしまうんだ。あんたが走るよりも早く、俺はあんたを移動させる必要がある。崖の向こう側へ行く為にな」
「でもお前の腕はどうー」
「とっとと賛成してくれVox先輩、いや、Voxxy。目的地はもうすぐそこなんだ。あんたなら出来るって俺は知ってる。Ike先輩が向こう側で待ってるんだぞ」
真偽のほどは誰にもわからないけれど、Fulgurのこの言葉がVoxに勇気を与えた。
FulgurがVoxを掴んだまま、自分の腕を伸ばす。
彼の腕と一緒に、Voxは自分で走るよりもずっと早く移動した。
Voxは今にも彼の腕が壊れてしまいそうな気がした。自分の体重分の負荷がずっとかかっているのだから。
崖の上に着くと、Voxは腕から離れジャンプし、両の足で大地に着地した。
Voxは無事だった。移動の過程で何も落としてはいない。
後ろを振り返らず、Voxは自分の足でただひたすらにキャンプまで走った。
Luxiemメンバーだけが、Voxのこの状況について把握していた。
Mystaが事前に報告していたからだ。
IkeがVoxを彼の可動式の快適な部屋まで支えて連れて行くと、そこには豪華なトイレがあったのだった。
一方、猿との戦いはMystaとAlbanの勝利に終わっていた。
もはや、バナナや石に手を伸ばそうと言う勇気のある猿は一匹もいない。
キャンプへと戻る途中で二人は傷ついた腕と共に座り込むFulgurを見つけた。
AlbanがFulgurをおんぶで運ぶ。
三人がキャンプへと到着すると、Voxは両腕を大きく広げて彼らを迎えて言った。
「俺はやったぞ、Boys」
Mysta、Alban、そしてFulgurはぱっと顔を輝かせた。
「俺はうんこできたんだ!」
こうして、四人は自分達の勝利を喜んだのだった。
ークレジットロール
ーThe End
めでたし、めでたし🥳
まとめ
いかがでしたでしょうか。
5つ目の作品は💩ばかり出て来ましたが、
途中何度も挫けながら読み上げるMilord、面白かったですよね(笑)。
拙い訳ですが「この配信、結構前の配信だけど和訳が気になってたんだよね」という方のお役に立てていたら幸いです。